平成18年第1回定例会 予算特別委員会

š‚〇新藤副委員長 谷村孝彦委員の発言を許します。
〔新藤副委員長退席、鈴木(貫)副委員長着席〕

〇谷村委員 まず初めに、多摩の振興策について伺います。
初めに、多摩地域の振興策を考えていく上で大きな起爆剤となります横田基地の軍民共用化についてであります。
昨年第一回定例会の私の一般質問、軍民共用化に伴う需要予測や経済波及効果に対する質問に対しまして、石原都知事は、交通経済の専門家である一橋大学の学長の杉山武彦先生に、首都圏西部の地域の産業、物流、交通などにいかなる構造的な影響を与えるかを考察し、必要な検討を進めていただくと、かなり踏み込んだ答弁をいただいたところでございます。
その後、昨年七月には、杉山学長を中心とする、いわゆる杉山委員会が設置をされ、九月にはシンポジウムが開催をされました。今年度中に、ということは今月中でございますが、杉山委員会の最終報告がまとめられると伺っております。
そこで、杉山委員会での経済波及効果などに関する検討結果について、都が把握している範囲でお聞かせをいただきたいと思います。

〇山口知事本局長 杉山委員会では、現在最終的な取りまとめに向けまして鋭意作業中であると聞いております。
杉山委員会によりますと、昨年九月のシンポジウム以降、需要予測について新幹線との競合を考慮するなど精度を高める作業を行った結果、二〇二二年において、一日当たり四十便で年間約五百六十万人の航空需要が見込まれ、それによる経済波及効果は約千六百億円、雇用効果は約八千八百人になるとのことであります。
なお、エアラインからも相当の需要が見込めると聞いております。

〇谷村委員 五百六十万人の需要予測があるという結果がまとめられているようでございますけれども、三大都市圏の七番目の空港が先月始動いたしました。これは関西にある神戸空港ですけれども、ここの需要予測は三百十九万人でございまして、それを大きく上回る、この五百六十万人の需要予測が出されているわけでございます。
そして、八千八百人の雇用創出効果でございますけれども、これは北多摩地域に限らず、多摩地域全体に大きな効果が発生をすることになります。
武蔵村山市には、ことし十一月に、日産村山工場跡地に関東で一番大きいショッピングモールがダイヤモンドシティとして誕生いたします。半径二十五キロメートルを商業圏として、四千三百台の駐車場を完備し、年間一千万人の来客、来場を見込んでいるという、その段階で既に人手不足がささやかれているという状況でございまして、この軍民共用化によって八千八百人の雇用創出効果というのは、大変に大きな経済波及効果になるわけでございます。
私は、この水と緑の豊かな自然環境を守りながらも、首都圏あるいは東京の玄関になる、日本の玄関になり得る、この横田基地を中心とした北多摩地域を首都機能を担う地域に大発展をさせたいと、このように念願をしている一人でございます。
本日、お手元に資料を配布させていただきました。国内空港の海外就航路線に関するペーパーでございますけれども、知事は運輸大臣経験者でございますので、既にご存じの内容かと思いますけれども、改めて配布をさせていただいております。
成田空港に並ぶ国際拠点空港、関西空港と中部国際空港がありますけれども、ここは当然、欧米、アフリカ、中近東、アジア、オセアニアという海外路線を持っておりますけれども、これ以外にも全国各地の空港というのは、国内路線だけではなく海外路線というのをしっかり持っていて、それが就航されております。
九州では、ソウルまで一時間二十五分、上海までは一時間二十分で行ける、行っている。北海道は、札幌-ユジノサハリンスク間は一時間三十分。東北は、仙台-ソウル間は二時間三十五分。北陸、信越は、韓国二時間、ハバロフスク二時間十分、ウラジオストクは一時間半。中国、四国は、それぞれ大連二時間、ソウル一時間四十分、上海一時間五十分。こういう国際路線が就航されている中で、人口三千万を要する首都圏だけが、国際線は成田、国内線は羽田というふうに大変な不便を強要されているわけでございます。
全国各地から一時間半、二時間あるいは三時間でソウルや上海、大連、ハバロフスク、ウラジオストクに行ける時代に、四百万人人口を擁するこの多摩地域は、成田空港に行くだけで三時間かかるという、こういうポテンシャルの大きな阻害がなされているわけでございます。
昨日の答弁にも、知事のシリコンバレーというお話ございました。この横田基地の軍民共用化が実現されてこそ、その多摩地域のシリコンバレーとしてのポテンシャルも大きな効果を発揮するものと確信するものでございます。
昨年十一月には、桂会長率いる東京都商工連合会を中心とした多摩地域の経済団体から、横田基地軍民共用化推進協議会が設立されました。私ども地元武蔵村山市でも、市民有志の方々が中心となって、横田基地の民間機利用促進市民の会を間もなく立ち上げる予定でございます。
多摩地域では、軍民共用化の実現を期待する声が確実に高まっているわけでございますけれども、後ほど知事からもこうした方々の動きに激励の言葉をいただければと思いますが、先週三月八日日本時間では、在日米軍再編をめぐる日米審議官級協議が始まっております。
その結果が連日報道されておりますけれども、改めて確認をいたしますと、在日米軍再編の中間報告で、横田基地の軍民共用化については、具体的な条件や態様を検討するとされた一方で、自衛隊との共同利用、いわゆるダブルユースの方向性も打ち出されました。この軍軍共用化は、軍民共用化へ前進なのか、それとも後退なのかという議論がございますけれども、私はこの自衛隊との軍軍共用というのは、軍民共用化への大きなステップになるものというふうに確信しております。
軍民共用化を進めるに当たって、米軍は、今、横田基地の空域の返還も再編協議の的になっておりますけれども、空港の航空管制については国土交通省には渡したくない。むしろ、スクランブルや緊急事態の発生、あるいは軍事知識を持った自衛官に空港の航空管制を握らせたいんだという話を前々から伺っておりましたけれども、事実、三沢基地の軍民共用化は自衛隊が航空管制を握っておりますし、小松基地でも自衛隊と民間機の軍民共用ですけれども、自衛隊が航空管制は責任を持っているわけでございます。
こうした軍軍共用化の動きを適切に受けとめつつも、私どもの地元の期待にこたえて、一刻も早く、できれば年内にでもこの横田基地の軍民共用化を実現すべきと考えますが、知事の所見をお伺いをしたいと思います。

〇石原知事 おっしゃるとおり、アメリカが突然いい出しました軍軍民共用化は、必ずしもこのプロジェクトの障害にはならないと思います。ただ、アメリカはいろいろなものを想定し、万々々が一のときに日本の民間の管制官が空域をコントロールするということに非常に危惧を抱いているのでしょう。
しかし、日本の防衛庁に聞きましても、防衛庁の方は、あの空域を自分たちが把握することは大賛成だけれども、何もあそこまで人を動かして、あそこへ空自の本部を移す必要は毛頭ないと。大体持っていく機材もないし、今のままでいいんじゃないかというような意見もありまして、非常にいろいろな複合的な要素がございますが、いずれにしろ、何の口実であろうと、私たちはあそこをとにかく活用することが必要だと思っております。
いずれにしろ、この横田を活用することは、人や物の流れを活発にしまして、産業の活性化や雇用の促進につながるわけでありまして、今後の多摩振興の引き金になることは杉山委員会の調査結果からも明らかなことだと思います。
軍民共用化の実現に向けて、いろいろな形で地元から--これ、地元だけじゃありませんで、山梨県とか長野県が非常に熱心なんですけれども、そういう声が上がるのは結構なことでありまして、これがアメリカを動かす大きな力となると思います。
現に、杉山委員会の最初の報告はもう完成しましたが、これを踏まえて、これをグレードアップして、アメリカ側からも専門家が入って合議機関をつくったらどうだといいましたら、アメリカはハドソンインスティチュートが中心になって専門家を集めての委員会をつくり、その二つがジョイントして具体的な問題について話をしてまいりますし、また、それを受けて国としてどう動くかという正式な合議機関というのを近々国でもつくります。これは、先般谷内次官と会いまして、それをこっちから強く申し、確認いたしました。
いずれにしろ、地元における機運の盛り上がりというものがこれを促進する力になると思いますので、今後ひとつ委員からも地元の方を説得していただきまして、国益のためにも、この日本で最長の滑走路というものを大いに活用していきたいと思っております。

〇谷村委員 在日米軍再編に関しまして、先月の十三日、瑞穂町の石塚幸右衛門町長--大変に見識の高い方でございますけれども--が横田基地のスコット・グッドウィン司令官や額賀福志郎防衛長官に会い、自衛隊との軍軍共用化は容認する意向を伝えられているようでございます。
これは、全国の自治体で初めての容認姿勢を明らかにされたことになりますけれども、見返りとして国から地元振興策を引き出すためと、このように報道されておりまして、その後打ち消しございませんので、事実だと思いますが、私どもは、この軍民共用化こそが最大の地域振興策と考えているわけでございます。
騒音問題にもきめ細かく配慮しながらも、瑞穂町にも大変大きな地域振興策となる多摩都市モノレールの箱根ヶ崎への延伸についても、この横田基地の軍民共用化にあわせて進めていくべきと考えます。
武蔵村山の市長、市議会の正副議長、また商工会からも私自身ご要望いただきましたし、知事あてにも、また都市整備局長にも要望に行かれたと伺っております。
横田基地の軍民共用化と多摩都市モノレールの延伸、そしてそのための新青梅街道の拡幅工事の推進について、改めて要望しておきます。
次に、多摩の市外局番についてお伺いをいたします。
これまで多くの多摩地域の先輩議員が取り組んでこられました。私も初当選以来、本会議や総務委員会で取り上げてまいりました。その結果、都に初めて検討委員会も立ち上がったところでございます。
二十三区は八百万人人口がおりますけれども、すべて〇三番に統一されておりまして、市外局番なしで相互に通話がされております。しかし、多摩地域の四百万人は、調布、狛江、武蔵野市の一部の〇三番地域を除いて、市外局番が大変に複雑に組み入っているわけでございます。
それまでは、三多摩格差を是正ということで〇三化というふうに運動してきたわけでございますけれども、多摩の将来像二〇〇一では、三多摩格差の是正という動きではなく、むしろ多摩の自立と連携を目指していく発展をするべきだという展開、新たな理念が打ち出されました。私も全くそのとおりだと思います。
そこで、多摩の市外局番を同じように〇三化するのではなく、むしろ〇四番、あるいは、まずは〇四二番で統一をさせていくべきだと主張しているわけでございます。
今月五日には、八王子の〇四二六番が〇四二番に変更になりました。また、さらに来月二十九日には、清瀬、東久留米、調布の〇四二四番が同じく〇四二番になります。今回の変更によって、多摩地域における〇四二番への統一がどの程度達成されたことになるのか、市町村における割合と使用回線数、利用者数の割合についてご報告をお願いしたいと思います。

〇高橋総務局長 都はこれまでも、都内市外局番の統一を目指しまして、多摩地域における料金体系や利用上の問題につきまして、国及び通信事業者に対して強く改善を要望してまいりました。
お話のように、今回の市外局番の変更によりまして、本年三月五日に八王子市の全域が〇四二六から〇四二局番になりました。さらに、四月二十九日には、清瀬市及び東久留米市の全域と小平、西東京、調布、狛江及び府中市の一部地域が〇四二四から〇四二局番になる予定でございます。
これらの地域が加わることによりまして、多摩地域における〇四二局番を用いる市町村の割合は八七%、使用回線数の割合は八八%となります。

〇谷村委員 いよいよ来月からは、多摩地域の約九割が〇四二番に統一されることになるわけでございます。しかし、これまでも指摘してまいりましたけれども、多摩地域で同じ〇四二番の市外局番なのに、市外局番からかけないと通じない地域や、市外料金が発生する地域というのが五つにも分かれておりまして、どこは市外局番が必要なのか、どこは市外局番は必要ないのかというのが、多摩都民でもわからないというのが実情でございます。
ちなみに、私の自宅は東村山ですけれども、事務所が東大和にあります。私の自宅から事務所に〇四二を抜きにして五六五-二三一二とかけるとどうなるかというと「おかけになった電話番号は現在使われておりません」になるわけです。そうすると、谷村さんて事務所を持っているのはうそなのと、こうなるわけですね。
これがビジネスでいくと、大変な信用失墜になるわけでございまして、こういう--逆に今度、選挙区外の小平にかける場合は〇四二は要らなくて、普通にかけて通じるわけでございます。だから、この多摩地域では、とにかく電話番号をお伝えしたり、かける場合は、複雑なので〇四二からかけるという状況になっているわけでございます。
こんなことからも、ぜひ改善をしたい、改善させなければいけないと思うんですが、都として、国及び通信事業者に対して強くこの改善を要望すべきと考えますが、見解を伺います。

〇高橋総務局長 今回の電話番号の変更によりまして、一定の改善は見られておりますけれども、〇四二局番における単位料金区域の拡大や統合はなく、住民の皆さんの不便を解消するまでには至っておりません。
今後とも、地域住民の利便性のさらなる向上に向けまして、引き続き粘り強く国及び通信事業者に働きかけてまいります。

〇谷村委員 今のご答弁にもありましたけれど、これはMAシステムという単位料金区域の問題があるから難しいんだというふうに長年説明を受けてきたわけでございます。
しかし、NTTは既に、マイラインをNTTというふうに選択すれば、都内全域同一料金でできますというシステムをスタートさせているんです。KDDIも同じこのシステムを採用しておりまして、NTTにマイラインを選んだらいいけれども、選ばなきゃ多摩都民に不便を強いるという、こんなばかげたことはないわけでございまして、ここまでできているわけですから、このMAシステムを乗り越えて、多摩の市外局番、少なくとも現在〇四二番のところは、それがなくても電話ができる、それで市外通話料金も必要ないというふうに、ぜひともこれは実現をしていきたい、技術的にも難しくないはずだというふうに訴えておきたいと思います。
それでは次に、都営住宅施策についてお伺いをいたします。
都は、平成十四年、東京都住宅マスタープランを策定いたしました。都営住宅の再編整備を行い、土地の高度利用により生み出された土地を、民間活力を活用して地域のまちづくりに貢献するという理念を発表しております。
多摩地域では、この理念に基づき、東村山市本町地区プロジェクトが実施をされております。これは多摩リーディングプロジェクトの重点推進事業にもなっているわけでございます。
東村山市本町地区プロジェクトの現在の進捗状況、今後のスケジュール、そして現時点での評価についてお伺いをいたします。

〇梶山都市整備局長 東村山市本町地区プロジェクトにつきましては、現在、事業主体である東京工務店が道路等の整備工事を行っているところでありまして、本年九月ごろには、価格の三割引き下げを目指す実証実験住宅などの建設に着手する予定でございます。
平成十八年度末には、実証実験住宅を含む約五十戸の戸建て住宅を第一次として販売する予定でございます。平成二十年度末には、全体のまちが完成する見込みでございます。
現時点での評価でございますが、本プロジェクトを通じて、高品質で低価格な戸建て住宅の供給により、当初のねらいどおり、住宅市場に刺激を与え、市場の構造改革を促進できるものと考えております。

〇谷村委員 これは知事も随分熱を入れて、力を入れてくださっているプロジェクトの一つでございます。ぜひとも大成功をさせていただきたいと思います。
そこで、都営住宅の再編整備に関連いたしまして、東大和市の向原団地では同じように、この土地の高度利用によって生み出された土地がありますけれども、五・九ヘクタール、約六ヘクタールですけれども、空き地が創出されて既に二年が経過をしております。
この六ヘクタールというのは、大体東京ドームの一・五倍に当たる広さだということのようですけれども、しかし、いまだに、そのあいた、創出された土地をどうするのかということについて明らかにされていないわけでございまして、これにつきまして、今後の取り組みについてお伺いをいたします。

〇梶山都市整備局長 向原団地につきましては、建てかえ事業に伴い、二カ所、約五・九ヘクタールの用地を創出しております。
この用地の活用に当たりましては、多摩地域の豊かな環境と調和し、地域の活力を高める郊外型の生活空間を整備することを目指し、土地の有効利用を図っていく考えでございます。
来年度、地域の活性化や周辺のまちづくりとの連携に資するような観点から、この用地の活用につきまして調査を実施するとともに、向原団地全体に地区計画が今現在指定されていることから、都市計画の変更に向け、地元市とも協議を行ってまいります。

〇谷村委員 ぜひとも、地元東大和市と一日も早く協議をスタートしていただきたいと思います。
あわせて、清瀬の中里団地、それから立川の大山団地も、既に空き地になって年月が過ぎているようでございます。この二つの団地の空き地につきまして、現在の状況と、そして今後の取り組みについてお伺いいたします。

〇梶山都市整備局長 お答えいたします。
都営住宅の建てかえ事業に伴い、清瀬中里団地では、二カ所、約二・二ヘクタールの用地を創出しておりますが、拡幅予定の小金井街道との接続や団地外周道路の整備等の課題がございます。
また、立川大山団地では、三カ所、約二・八ヘクタールの用地を創出しているわけですが、団地内を南北に貫通いたします都市計画道路や外周道路の整備等の課題がございます。
今後、地元市と協議を行い、これらの課題を整理しながら、土地利用の方向性を検討してまいります。

〇谷村委員 先ほどの東大和の向原団地につきましては、居住者の引っ越しの完了からカウントしますと既に三年が経過をしておりまして、これから市との協議に入るということなんですが、これから建てかえが大詰めを迎えます。武蔵村山の村山団地と東大和市の東京街道団地の居住者の皆さん、またその周辺で営んでいらっしゃる商店街の皆さんも、この都営住宅の建てかえがどうなるのかということを大変に心配をされております。こういうタイムスパンでいくと、いつまでたっても人がいなくなったままになるんじゃないかという、こういうご心配なわけでございます。
そこで、この二つの団地についてはどういう取り組みをされるのか、この際、お伺いをしておきます。

〇梶山都市整備局長 村山団地や東京街道団地につきましては、現在建てかえ事業中でありまして、事業完了後、複数の用地を創出する予定であります。
これらの用地の活用に当たりましては、都市計画の一団地の住宅施設の変更が必要であることに加え、建てかえ対象外の中層住宅や保育園等の公益施設が点在していることによりまして、用地の形状が不整形であることなどの課題がございます。
今後、建てかえ事業を進める中で、用地の整理統合等、活用に向けた方策を幅広く検討してまいります。

〇谷村委員 ぜひとも、居住者の方々の引っ越しが完了する時期には、あるいは古い住宅の除去作業が終わるころには、次の事業はどうなるのかとか、あるいはそれまでの暫定活用はどうなるのかというようなことを明らかにするなど、スピード感を持って、また経営感覚を持って、ぜひとも取り組んでいただきたいことを要望いたしておきます。
この都営住宅の建てかえ事業で創出されております空き地に加えて、都民の目線から見て納得のいかないものの一つの例といたしまして、多摩東村山保健所の跡地があります。これは、多摩地域の保健所再編の際に、東村山市も理解を示し協力をしたわけですけれども、平成十六年から多摩東村山保健所は閉鎖をされております。それからもう既に二年が過ぎようとしているわけですけれども、現在、ここの跡地利用につきましては、東京都と東村山市で鋭意協議が続けられております。
しかし、そこに大変立派なテニスコートがあるわけでございますけれども、保健所として運営されていた時期というのは、これは市民の皆さんに開放されておりました。しかし、東村山市と都の協議がなかなかつかない結果、二年間もそれは放置されたまま、市民も使用できないままという状況が続いておりまして、これは一例でありまして、福祉保健局を責めているわけでも何でもございませんけれども、それは管理する立場と、また暫定活用を求める側で違うわけですけれども、各局が所管する財産につきまして財務局長にお尋ねしますけれども、将来の利用予定がある、または利用方法は具体的には未定だけれども、現在は利用されていない財産の存在について、財務局としてどうご認識されているのかお伺いいたします。

〇谷川財務局長 各局が所管している財産の中には、事業予定地や事業残地など利用されていない財産があることは承知してございます。このため、都有財産利活用推進会議を通じまして、全庁的視点から未利用財産の洗い出しを鋭意進めているところでございます。
また、十八年度からは、新たに稼働する財産情報システムを使いまして、より正確な未利用財産の把握に努めてまいります。
これらの取り組みによりまして、今後、各局が所管する財産の的確な把握とその有効活用を積極的に図ってまいります。

〇谷村委員 特に旧多摩東村山保健所の跡地にあるテニスコートのような、こういう都民ニーズの高い貴重な施設が二年間も放置されているというのは、いかがなものかと思います。
今ご答弁ありました財産情報システムをフル活用していただいて、例えば、こうした施設について、維持費や管理体制について市区町村で責任を持つ場合などは積極的に有効活用できるようにするべきと考えますが、所見をお伺いします。

〇谷川財務局長 現時点で利用されていない各局所管の財産につきましては、将来の利用開始までの間、有効に活用を図っていくべきものと考えており、とりわけ施設の利用に当たっては、区市町村が責任を持つ場合は、委員ご指摘のとおり積極的な有効活用を図っていくべきだと考えております。

〇谷村委員 ありがとうございます。ぜひお願いをしたいと思います。
今後、財務局が所管している普通財産はもちろんのこと、各局所管財産の有効利用について、財務局としてどういう活用を考えておられるのか、また財務局の今後の具体的な取り組みと、そして各局に対する財務局の役割についてお伺いいたします。

〇谷川財務局長 将来の利用予定があり、現在利用されていない各局所管財産につきましては、駐車場など市場性に着目した貸し付け、地域ニーズへの対応、局横断的な活用など、暫定的に活用していくことが考えられます。
これらを含め、各局所管財産の有効活用を促進するために、財務局に支援組織を十八年度から設置いたします。
具体的には、財産を所管する局に対しまして、活用ノウハウの提供や相談などの支援を行い、各局所管財産の有効活用をより一層促進してまいります。

〇谷村委員 各局所管財産についても、財務局が旗振り役になって暫定活用を推進していく、そしてそのための支援組織を設置するということですので、ぜひとも暫定活用の活性化、推進をお願いしたいと思います。
次に、青少年健全育成についてお伺いいたします。
私も青少年健全育成審議会の委員を三年半務めさせていただいております。毎月、知事の諮問を受け、青少年にとっての不健全図書を、都内一千人以上を超える協力員の皆さんと連携を図って有害図書指定をしたり、あるいは推奨映画の指定をするなど、青少年健全育成の一翼を担う審議会でございます。
私が務めさせていただいているこの三年半の間に、二度にわたり青少年健全育成条例も改正をされました。特に成人向け図書の自動販売機については、中が見えないようにする措置や、年齢識別装置の設置などが義務づけられたところでございます。
そこでまず、この成人向け図書の自動販売機に関する条例改正の効果についてお伺いいたします。

〇舟本青少年・治安対策本部長 平成十七年一月一日から施行されました自動販売機に係る改正条例の効果についてでございますが、昨年十二月末までの調査結果は、約七割の自動販売機で、フィルムを張るなど中が見えない措置がとられております。また、九割の自動販売機に年齢識別装置が取りつけられておりました。
条例に基づく措置がとられていない自動販売機につきましては、直ちに設置者に対し改善指導を行いました。
なお、平成十七年末の設置台数は、前年と比べ約三割減となっております。

〇谷村委員 着実に条例改正の効果があらわれているとのご報告でございました。
さて、昨年、東大和市の南街地域に、成人向け図書の自動販売機が突然設置をされました。商店街の通りの中で、学校にも比較的近く、そういった状況から、保護者からもPTAからも大変な苦情が寄せられていたわけでございます。
ことしの一月十六日、地元の東大和市の尾又正則市長と公明党の市議会議員の方たちと一緒に、PTAの方たちとその成人向け自動販売機の視察をさせていただきました。実際にそのときは、見えない措置もしっかりされていて、年齢識別装置もあり、むしろきちんと調査をし確認をすると、都条例にかなった自動販売機であるという裏づけをするようなことになったわけでございます。
しかし、そのときに、PTAのある方から、谷村さん、夜行ってみてくださいというお声をいただきまして、改めて夜行ってまいりました。すると、中から電気がこうこうとついておりまして、見えない措置が施されているどころか、逆に全部中が外から見えるわけですね。見えない措置は、簡単にいえば解除されておりました。
そこで、翌日、青少年健全育成審議会で、こうした状況をご報告させていただいたところでございます。
青少年・治安対策本部の職員の方たちが、こうした成人向け図書の自動販売機については、毎月毎月きちんと見回りをされて、審議会に毎月ご報告をされております。その設置状況、運用状況について事細かくご報告をいただいておりますけれども、しかし、その職員の方が見回っていらっしゃる時間帯をお尋ねしますと、職員の勤務時間に回っているということなんです。朝九時から夕方五時四十五分まででしょうか。
とすると、業者は、そういう時間だけ見えない措置をしっかりして、年齢識別装置も稼働させていれば、そこは都条例にかなった自動販売機ですよということになるわけです。これはだれが見ても、いつ行ってもそういう状況になるわけですけど、実態としては、夜はこうこうと中から光が照らされて、全部不健全図書が見えるわけでございまして、まず、こうした時間帯を改めていただきたい、これが一点。
そして、この東大和市南街に設置されました自動販売機につきましては、東京都からも指導していただきました。私自身も、二月二十日にこの自動販売機の設置業者の社長さんとお会いをいたしまして、直接地域の皆さん、PTAの皆さんのお声をお伝えいたしましたところ、ご理解をいただきまして、二月中には営業を中止し、三月には撤去するというふうに約束をしてくれたわけでございます。
そこで、この自動販売機の廃止届がきちんと東京都にその後出されたかどうか、そして、成人向け図書の自販機の見回りのあり方について見直しを求めたいと思いますが、見解をお尋ねします。

〇舟本青少年・治安対策本部長 お尋ねの東大和市に設置されていました当該自動販売機につきましては、三月七日に廃止届が都知事あてに提出されております。
また、自動販売機の実態調査についてでありますが、今まで主に昼間帯に行っておりましたけれども、実際そうしたケースがございましたので、今後は警視庁と連携を強化いたしまして、夜間の稼働実態についてもよく調査をいたします。

〇谷村委員 ありがとうございます。警視庁とも連携を深めて対応していただくということで、ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
次に、この青少年健全育成に関しまして、新たな課題、青少年を取り巻く有害環境の新たな問題といたしまして、子どもたちが大変多くの時間接しているといわれておりますテレビゲームへの対策が大変重要になっております。
昨年六月には、神奈川県で初めて、その条例を生かして、ゲームソフトに対して有害図書指定がなされております。東京都はどうするんだというお声を、この間ずっと私どももいただいてきたわけでございますけれども、東京都としては、ゲームのメーカーや販売店などとともに設置をしたテレビゲームと子どもに関する協議会で、このゲーム問題に取り組んでおられます。
都は、この協議会で、ゲーム業界に対して具体的にどういうことを求められたのかお伺いいたします。

〇舟本青少年・治安対策本部長 テレビゲームの中には、青少年の健全育成を阻害するおそれのある残虐な内容のものがあります。
業界団体は、ゲームの内容に応じた年齢区分を行っているといっておりましたけれども、業界のいうこの区分というのは、あくまで販売の目安にすぎないために、たとえ十八歳以上対象という表示のあるゲームでも、子どもが買える実態が現にありました。
そこで、こうした残虐なゲームを子どもが購入できないようにするため、都は協議会の席上で、十八歳未満販売禁止の明確な表示を求めました。
さらに、子どもが過度に長時間ゲームで遊ぶという問題に対しましても、この協議会で検討することを求めております。

〇谷村委員 テレビゲームと子どもに関する協議会では、都の要請に対して、業界として新たな自主規制の仕組みが示されたようでございますけれども、自主規制の内容と、それに対する都の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

〇舟本青少年・治安対策本部長 二月に開催した第三回目の協議会におきまして、業界側から、残虐なゲームにつきましては、新たに十八歳未満販売禁止の区分を設けて、そのことを明確に表示して子どもに売らないという旨の表明がありました。
都としましては、今後、販売店に立入調査をするなどしまして、自主規制が適切に行われているかを確認いたします。

〇谷村委員 この問題は、事業者側の取り組みだけではなく、何といっても重要なのは、各家庭における保護者の役割だと思います。平成十八年度、来年度には、心の東京革命で、インターネットやゲームについて家庭のルールづくり事業を推進すると伺っております。保護者の意識啓発も、ぜひとも進めていただきたいことを要望しておきます。
次に、ベビーホテルについてお伺いしたいと思います。
保育サービスを提供する施設の一環として、このベビーホテルがあります。ショートステイの保育サービス版といっていいわけですけれども、このベビーホテルの実態が思わしくないようでございますけれども、都が把握しているベビーホテルの実情について明らかにしていただきたいと思います。

〇平井福祉保健局長 都に届け出のあるいわゆるベビーホテルは、平成十七年十二月一日現在で、施設数が二百九十二、利用児童数は約四千人でございます。施設数は、届け出制を開始した十四年度に比べまして約二割増加しております。
また、十六年度に実施した立入調査におきましては、二百七十一の施設中二百二十六の施設で、都の基準に適合していない点がございました。その内容の主なものは、保育従事職員の配置不足、非常災害に対する設備の不備などでございます。

〇谷村委員 昨年十二月に厚生労働省の調査が発表されましたけれども、全国のベビーホテルが年々増加しているにもかかわらず、八割の施設が国の定めた指導監督基準に適合しないまま運営をされているという結果でありました。このベビーホテルに対する指導を強化するべきと考えますが、見解を伺います。

〇平井福祉保健局長 都は、ベビーホテルに対しまして、毎年、全施設を対象として事前通告なく立入調査を行うなど、従来から徹底した運営指導や検査を実施しております。
また、不適正な保育内容や保育環境など重大な問題のある施設に対しましては、繰り返し指導し、改善が図られない場合は、勧告をした上で施設名を公表するなど厳格な対応を行い、適正な保育水準の確保に努めております。
今後とも、区市町村と連携を図りながら、ベビーホテルに対する適切な指導監督を行い、特に劣悪な施設に対しては、事業の停止や施設の閉鎖も含め、厳しく対応してまいります。

〇谷村委員 どうもありがとうございました。(拍手)

〇鈴木(貫)副委員長 谷村孝彦委員の発言は終わりました。
この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十六分休憩