平成19年第2回定例会 代表質問

○副議長(木内良明君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
三十九番谷村孝彦君。
〔三十九番谷村孝彦君登壇〕

○三十九番(谷村孝彦君) 石原都政三期目のスタートに当たり、都議会公明党を代表して、都政の重要課題について知事並びに関係局長に質問いたします。
今からちょうど四十年前、我が党は、緑の森と噴水の中にそびえる高層都市東京と題する政策提言を発表しました。そこでは、水と緑の環境政策、都市の高層化によるオープンスペースの確保、高速道路やモノレールなど総合的な交通ネットワークの整備、ゆとりある住宅の供給などが盛り込まれております。当時はまだ、公害問題、決定的な住宅不足や交通渋滞などが深刻で、この提言も将来のユートピア構想のように受けとめられたといっても過言ではありません。
しかし、それから四十年を経た現在、当時の夢がまさに現実になろうとしております。それは、いうまでもなく、さきに知事が発表した「十年後の東京」構想であります。パリやロンドンやローマに負けない、世界に誇れる先進都市東京を築くことは、多くの都民の強い願望であるはずであります。
東京の宿痾ともいうべき渋滞を解消し、また、ヒートアイランド現象を低減させて環境先進都市東京を築く、さらには、バリアフリーやユニバーサルデザインを広くまちづくりに取り入れて福祉先進都市東京を築くことこそ、三期目の石原都政の使命であるべきであります。そうした努力の積み重ねの中で、オリンピック招致への道も前進していくはずであります。
「十年後の東京」の実現へ間違いない道筋をつけるため、三期目に挑む知事の決意を伺います。
次に、オリンピック招致を目指す観点から、「十年後の東京」構想について具体的に質問します。
経済のグローバル化とともに、国際的な都市間競争が激化しております。シンガポール、香港、上海など東アジアの主要都市が、空港、港湾など社会資本整備を急速に進めており、旅客、流通のハブ機能や国際金融センター機能の拡大が国家戦略として取り組まれ、我が国の優位性が揺るぎかねない状況であります。
今後、東京が国際競争を勝ち抜いていくためには、改めて、首都圏の空港、港湾の整備、アクセスとなる道路網の整備、さらには多摩都市モノレールなど、東京の交通インフラ整備に対してスピード感を持って取り組むべきであります。「十年後の東京」、とりわけ、空港、港湾、交通インフラの整備に対する知事の所見を伺います。
この首都圏の都市インフラ整備において決定的に重要な役割を果たすのが、横田基地の軍民共用化であります。日米政府間の検討組織であるスタディーグループでの協議が、ことしの十月を期限として進められておりますが、この六月八日には、八都県市首脳会議として初めて、国の関係大臣に対し、横田飛行場の民間航空利用等について要望書を提出しました。この要望書の提出は、日米協議の推進の後押しとなるものであり、大変に有意義なことであります。協議終了まであと四カ月に迫りました。今後の知事の取り組みと決意について伺います。
また、共用化された横田基地に不可欠なアクセスが多摩都市モノレールであります。都が目指す多摩シリコンバレー構想を大きく前進させていくためにも、交通網の整備は欠かせません。その点で、多摩都市モノレールと圏央道の全線開通は、まさに車の両輪として重要な役割を果たす存在であります。
今月二十三日には圏央道あきる野─八王子間が開通します。そこで、より重要となるのが多摩都市モノレールの延伸であります。完成すれば、総延長は九十三キロメートルに及び、十一市一町を循環する多摩の山手線として機能していくことになり、まさにこの時期に、都の財政支出を含む抜本的な経営改革を行うこと、そして将来の延伸の道筋をつけることが大変に重要であります。日暮里・舎人ライナーが交通局で運営されるのであれば、多摩都市モノレールの経営の安定化のために、都が財政支出をするのはむしろ当然のことであります。
そこで、これまでの多摩都市モノレールの経営状況の評価と、会社の経営安定化に向けた今後の都の取り組みについて伺います。
続いて、財政問題について質問します。
政府の骨太の方針二〇〇七の策定をめぐる議論の中で、国の歳出抑制策と都道府県の税収や財政力の差を結びつけて、東京など都市部の財源を吸い上げて地方に回そうという無定見な手法が浮上しております。
これに対し東京都は、「大都市狙い撃ちの財政力格差是正論への反論」をまとめ、地方自治体の財政力を、税収のみに着目するのではなく、歳入、歳出、行政改革という三つの角度から総合的に考えることが必要であるとの論を展開しております。
すなわち、地方税の偏在については地方交付税制度によって調整されていること、歳出に関しては、首都東京には、ライフラインの整備、治安対策、道路、空港整備など大都市特有の膨大な財政需要があること、改革努力については、国や他の自治体に先んじた行財政改革で財政健全化を果たしたことを強調し、大都市ねらい撃ちの誤りを指摘しております。
この反論の視点はまことに的確であり、評価するものであります。ただ、正論が正論だからといってそのまま国や他の自治体の理解につながるとは限りません。
そこで、今回まとめた都の反論をさらに具体化する観点から幾つか提案いたします。
まず第一に、都のこれまでの行財政改革のノウハウを他の自治体に積極的に提供していくということであります。都の近年の好調な財政状況は、法人二税を中心とした税収増だけでなく、全庁を挙げての間断のない行財政改革が実を結んだものであります。こうした都の改革ノウハウをきめ細かく紹介していくことは、小手先の財政力格差是正よりはるかに実質的な地方貢献になると考えます。見解を伺います。
第二に、都が都市と地方の双方から共感を得る主張を発信していく必要があるという点であります。税収の偏在については、大都市である区部が焦点となっておりますが、東京都には、奥多摩や島しょ地域など、特有の課題を抱える市町村が存在しており、都は全国の各地方と同様の課題を抱えているといっても過言ではありません。大都市としての反論に終始するのではなく、新たな主張を発信していくべきと考えます。見解を伺います。
第三に、大都市富裕論をこれ以上繰り返させないためにも、地方税財政制度の本格的な見直しを、今こそ自治体が一致結束して国に求めていくべきであります。最近の財政力格差の是正論議には、自治体間の財政調整によって国の負担を軽くしようという意図が色濃くあらわれております。今月十二日には、東京、神奈川、愛知、大阪の四都府県の知事による地方税財政の見直しに対する緊急アピールが出され、国による対処療法的な安易な手法に歯どめをかける機運が高まっております。自治体のこうした行動を広げ、抜本的な地方税財政制度の改革を国に迫っていくべきであります。知事の見解を伺います。
次に、新銀行東京について伺います。
先日発表された新銀行東京の決算内容を見ると、当期純損失が五百四十七億円、累積欠損が八百四十九億円という非常に厳しい内容となっております。これは、金融再生法に基づく不良債権が十八年三月末に十七億円だったのに対して、十九年三月末には二百六億円と大幅に増大したことが経営を圧迫している大きな要因になっているからであります。
都議会公明党は、新銀行東京の経営について、さきの予算特別委員会において、自民党、公明党はもちろんのこと、民主党をも含む都議会が新銀行東京への一千億円の出資を承認した際の付帯決議に基づいて検証を行い、具体的な改善策を提案いたしました。
その一つは、新銀行東京の内部管理体制の強化であります。特に、新銀行東京の規模から見て、多額のシステム経費や業務委託費については徹底した削減や見直しを行うべきであり、そのためには、支配株主である東京都が、物をいう株主として、しかるべき立場の職員を新銀行東京に派遣するべきであるとの提案であります。
これを受けて、都は、当時の大塚副知事を筆頭に、東京都の優秀な幹部職員を新銀行に派遣を決定し、また新銀行東京が、赤字決算の中においても業務委託の見直しが可能となるよう、関連経費を三十五億円引き当て計上し、さらには、システム関連資産などの固定資産に減損会計を適用して百九億円の損失を計上したことは極めて効果的であり、英断として高く評価するものであります。
しかし、新銀行東京の新中期経営計画においては、経営の立て直しに重点が置かれており、新銀行東京の本来の設立目的である技術力や将来性があるにもかかわらず、資金力のない中小企業への融資のための目きき機能の強化については、残念ながら言及されておりません。
新銀行東京の本来の目的を遂行するためには、さきの予算特別委員会でも提案したように、例えば、代位弁済率を半減させ、中小企業の実態をどこよりもよく把握している東京信用保証協会のノウハウを活用し、目きき機能を強化させることが重要であります。
新銀行東京の経営状況を見ると、まずは立て直しが重要でありますが、だからといって、将来性のある中小企業等への資金供給が後退するようなことがあってはなりません。
そこで新銀行東京における、今後の中小企業支援に対する考え方について、見解を伺います。
また、新銀行東京が、設立趣旨に沿って、中小企業支援を着実に実施し、一方で民間企業としての経営健全性を確保するためには、組織力の向上が一つのかぎであり、経営体制のあり方についても、見直すべきところは大胆に見直すことが必要であります。
今後の都の取り組みについて、知事の所見を伺います。
次に、中小企業支援について伺います。
近年、都内では、事業の継続を断念し、廃業する中小企業が増加しております。平成十三年から十六年までの都内事業所の廃業率は七・七%と、ここ三十年間で最も高い数字となっております。
都内工場の中には、隣地にマンションなどが建設され、操業に支障が出てきた例や、建築時には適法に建てられた建築物であっても、その後、用途地域の指定変更等によって、十分な増改築ができなくなり、事業継続を断念しているケースがあることをよく耳にします。
また、経営者が高齢化しているにもかかわらず、後継者難や相続税負担等によって、事業承継が円滑に進まず、今後も廃業する企業数はますます増加すると危惧されております。
こうした立地や事業承継の問題が事業継続を妨げる大きな要因となっており、このままでは都市型産業の崩壊につながりかねない危機的状況であります。東京の産業基盤を維持強化するためには、中小企業の事業継続を妨げているこうした要因を取り除き、事業環境を早急に整備することが必要不可欠であると考えます。所見を伺います。
また、中小企業の人材不足も深刻な問題であります。人材不足に悩む中小企業と若者を結ぶ有効な方法にインターンシップ制度があります。
中小企業庁の調査によると、中小企業における採用の満足度は、インターンシップの受け入れを積極的に行っている企業で高い数値を示しており、中小企業におけるインターンシップの取り組みが大変に有意義であることがうかがえます。
しかし一方で、実際にインターンシップを積極的に行っている企業は、中小企業全体の七%程度にすぎないという現実があります。
都は現在、インターンシップに熱心に取り組んでいる企業等を若者ジョブサポーターとして登録し、ホームページ等でその企業名や取り組み内容を積極的にPRするとともに、都の融資制度を利用できるようにするなどの優遇措置を講じておりますが、事業運営の傍ら、インターンシップに取り組む中小企業をさらにバックアップするためにも、中小企業と若者の出会いの場の充実や教育機関への情報提供など、若者ジョブサポーター企業への支援を強化すべきと考えます。見解を伺います。
次に、子育て支援策について伺います。
子育て支援策については、都庁の総合力を発揮するために、副知事をトップとした局横断的な会議を設置すべきとの公明党の提案を受け、都はこのたび、山口副知事を座長として、関係十三局で構成する子育て応援戦略会議を設置しました。これを高く評価するものであります。
早速、先週十三日から検討が開始されましたが、出生率が全国で一番低い東京としては、女性に限らず、男性も含めた働き方全般にわたる見直しの推進や、社会全体で子育て世代を支えていくための環境づくりの推進に全力を挙げるべきであります。
そこで、局横断的な組織の特性を生かし、時代に即応した施策の検討を進めるためには、専門家からの提言を積極的に生かし、あわせて子育て中の都民から直接意見を募って、施策に反映させる必要があります。所見を伺います。
また、「十年後の東京」では、保育所の待機児童五千人の解消がうたわれております。この子育て応援戦略会議の場で、待機児童解消についても具体的に検討し、抜本的な解決策を講じるべきであります。所見を伺います。
次に、子ども医療費助成について伺います。
都は、中学校三年生まで医療費をゼロにすべきとの公明党の強い要請を受け、本年十月から他の道府県に先駆けて、通院費と入院費を一割助成する制度をスタートさせます。子育て支援の一環として、医療費助成の対象が大きく拡大されることは、高く評価するものであります。
しかし、本制度が導入されることを契機に、二十三区ではほとんどの区で中学校三年生まで医療費をゼロにすることとしており、このままでは多摩の市町村との格差が拡大してしまいます。
都知事選でのマニフェストである東京再起動宣言には、公明党の主張である中学校三年生まで医療費をゼロにする旨の記載があり、子育て支援に取り組む石原都知事の姿勢を多くの都民が支持したものと思います。
そこで残された課題は、多摩の市町村の財政負担であります。医療費助成の二分の一は市町村の負担となり、財政を圧迫しかねません。中学校三年生までの医療費ゼロを一日も早く実現すべきでありますが、その際には、市町村への財政支援策を明らかにすべきであると考えますが、知事の所見を伺います。
次に、障害者の就労支援について伺います。
都議会公明党は、障害者の就労支援についてはたびたび取り上げてまいりました。多くの企業が集積する東京都においてこそ、障害者の自立支援に向けて、先駆的な役割を果たすべきであります。
しかし、都内企業の障害者雇用率は一・四四%と、全国最低レベルにあり、早急に就労支援策を強化していく必要があります。
都は、「十年後の東京」において、障害者雇用を新たに三万人創出するとしております。
また、五月に策定された東京都障害者計画においては、障害者が当たり前に働ける社会の実現を目指しております。
そこでまず、都として、この目標達成に向けた知事の決意を伺います。
次に、障害者が一般企業に就労するための支援策として、企業で働くためのトレーニング等の支援を行う就労移行支援事業があります。
今回この事業は、民間企業でも実施が可能になり、今月一日には、町田市で、東京都初の民間企業による就労移行支援事業が開始されました。パソコン操作やビジネスマナーなどの、一般企業等への就労に必要な知識や能力向上の訓練の実施。さらには、面接の練習や履歴書の作成指導、採用面接や職場実習での職員の付き添いなど、具体的な就職活動への支援が行われていく予定であります。
障害者の雇用拡大のためには、こうした民間企業の力も活用し、就労移行支援事業のさらなる拡大に努めていくべきと考えますが、見解を伺います。
また、障害者の就労を推進し、職場への定着を図っていくためには、障害者と企業との的確な橋渡しを行う体制を強化することが重要であります。
都は、千代田区飯田橋に東京しごとセンターを設置し、雇用や就業に関するワンストップサービスセンターとして、高い就職率を達成し、本年八月には、多摩地域にもしごとセンターを開設することは、高く評価するものであります。
一方、障害者の就労支援については、同じ財団の新宿区戸山の心身障害者職能開発センターでも事業を実施しておりますが、しごとセンターとの連携が必ずしも十分ではありません。
そこで、東京しごとセンターにおいて、障害者を含めた真のワンストップサービスが提供できるよう、かつ将来的には一本化することを目指し、当面、両センターの連携を強化し、機能の見直し、充実を行い、より一体的な就労支援を図るべきであります。見解を伺います。
次に、障害者の就労促進のために、いよいよ東京都みずからが行動を起こすときを迎えました。現在、都庁内での障害者雇用については、身体障害者のみに限定され、知的障害者の雇用はいまだ皆無であります。
国は、十九年度からチャレンジ雇用制度を知的障害者等にも拡大することを明らかにし、まずは厚生労働省が百人を雇用するとのことであります。
都としても、いよいよ都庁内において、知的障害者の就労の実施に取り組むべきであります。見解を伺います。
次に、生活保護制度における就労支援について伺います。
景気の回復、失業率の改善など、国の経済状況には明るい兆しが見える一方、全国の生活保護世帯は百万世帯を突破しました。
大都市東京においては、伸び率は鈍化してきたものの、依然増加傾向にあり、都内では十七年度に約十九万人が生活保護を受給しております。
最後のセーフティーネットである生活保護制度は、昭和二十五年の現行制度創設以来、大きな制度改正が行われないまま、推移してきました。そもそも生活保護法は、国民の最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的としております。
都は本年三月、生活保護を変える東京提言を国に対し発信し、国が国家責任としてのセーフティーネットを堅持しつつ、自立支援を総合的、効果的に進め、今日の時代状況に適合する制度への見直しを行うよう提言しております。
生活保護受給者の自立を推進するため、自立の可能性がある受給者に対して、生活習慣の確立等を支援する福祉事務所の体制強化、例えば、生活支援を専門的に行うような人材の配置等が必要と考えます。見解を伺います。
また、確実な就職に結びつけるためには、新たな職業能力を身につけることも重要であります。
都が、区市に働きかけ、就労支援プログラムの取り組みを実施し、ハローワーク等の労働部門との連携を推進しておりますが、受給者がいきなり就職するということはなかなか困難な状況であります。
こうした状況を解決するためには、都立職業能力開発センターとの連携を強化していく必要があります。
今後は、都立職業能力開発センターで、現在認められている母子家庭の母親や四十五歳以上の求職者に対する職業訓練の受講優先措置を、就労支援プログラムの対象となる生活保護受給者へも拡大するなど、特別の配慮を加えるべきと考えます。所見を伺います。
次に、介護サービス事業の不正行為対策について伺います。
去る六月六日、厚生労働省は、訪問介護最大手の株式会社コムスンが虚偽の申請で事業者指定を不正に取得していたとして、事業所にかかる新規の指定、更新を打ち切るよう、都道府県に通知しました。
我が党は、利用者の不安解消とサービスの確保、継続、及び悪質事業者の処分逃れについては、法改正を含めた整備を国に求めるよう、石原知事に対して申し入れを行ったところであります。
介護サービス事業者による架空請求や水増し請求など、介護保険の不正請求は後を絶ちません。特に訪問介護において、ヘルパー等がいつ、どこで、何時から何時まで訪問したかという介護サービスの訪問記録は、介護サービス事業者が国民健康保険団体連合会に提出するため、その請求書の中身を区市町村がチェックできないことが不正を生む大きな要因となっております。
大事なことは、区市町村が訪問記録を把握し、管理できるシステムを早急に導入することであります。
我が党は、これまでも介護保険の適正化を図るために、区市町村が独自に行う不正防止対策を都が積極的に支援するよう、繰り返し訴えてまいりました。
そこで改めて、介護保険の不正請求を根絶するための、都の具体的な取り組みについて伺います。
次に、自殺防止対策について伺います。
我が党は、深刻な状況が続く自殺問題に対し、都においても、総合的な施策の展開と、特にいじめによる若年層の自殺防止対策の必要性について、これまでも主張してきたところであります。
去る六月七日に警察庁が発表したところによると、昨年一年間の全国の自殺者数は三万二千百五十五人で、九年連続で三万人を超す状況が続いております。G8諸国の中で、二○○○年時点での十万人当たりの自殺者数を比較すると、フランス約十八人、ドイツ約十三人、アメリカ、イギリス、カナダがそれぞれ十人前後であるのに対して、日本は約二十四人と、四十人に上るロシアに続いて、ワースト二位となっております。
こうした状況の中、先日、国において自殺総合対策大綱が策定され、具体的な施策がまとめられたところであります。
東京都においては、平成十七年の自殺者数は約二千七百人で、これは都内の交通事故死亡者数二百八十九人の実に九倍にも達しております。年代別で見ると、五十代後半から六十代前半の中高年男性の自殺者が多くなっております。また、十代の子ども、二十代、三十代の若年層の死因のトップは、いずれも自殺であります。
一家の大黒柱、社会の屋台骨である年代層の自殺や、将来ある若者の自殺など、極めて憂慮すべき状況が続いており、総合的な自殺対策の展開は、都においても喫緊の課題であります。
東京都では、今年度から自殺総合対策に取り組むこととしておりますが、その積極的な推進を求める観点から、まず第一に、自殺総合対策東京会議の構成と位置づけについて、第二に、今年度を初年度とした重点事業、自殺総合対策における具体的な施策の内容について、そして第三に、自殺の危機にまさに直面している方々への水際防止策について、都の取り組みを伺います。
次に、特別支援教育について伺います。
都議会公明党では、去る五月三十日、杉並区にある、軽度の知的障害の特別支援学校である東京都立永福学園を訪問いたしました。学校内では、パソコンが並ぶ実習室、介護を体験するためのベッド、浴槽、コーヒーショップを模したスペースなどが設けられ、校内で疑似職場体験や実習が行われておりました。
訪れた議員は、四月に入学した生徒たちが実に生き生きと授業に臨んでいた姿に感動し、一年次から各自の希望や適性に応じた、産業現場での実習が授業に取り入れられ、生徒の就職率一○○%を目指していると聞いて、大きな期待を抱いて帰ってまいりました。
この学校では、百名の定員に対して、三倍以上の応募がありましたが、定員制のため、希望にこたえられなかったということであります。
将来の自立と社会参加を目指す子どもたちと、その保護者の切実な願いを思うと、全員就労を目指す学校の設置計画をさらに推進すべきと考えます。
ここ数年来、特に知的障害の児童生徒が大きく増加をしており、慢性的な教室不足が生じ、既存の学校での対応はもはや限界に来ております。
また、例えば、江戸川区、葛飾区などでは、肢体不自由の子どもたちが、交通アクセスの不便さから長時間通学を余儀なくされている実態もあります。せめてこうした地域については、緊急に施設の設置を行うべきと考えます。
全員就労を目指す知的障害特別支援学校高等部の増設について、知事の所見を伺います。
また、都においては、これらの具体的な課題について、現在策定中の東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画で対応すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、不登校児童生徒対策について伺います。
我が党は、さきの予算特別委員会で、小中一貫校として、不登校対策の取り組みを行っている八王子市立高尾山学園を取り上げ、この方式は効果的であるものの、重い財政負担のため、いまだ全国で二校しか開校されていない実態を明らかにし、不登校児童生徒が多い東京都においてこそ、意欲ある学校に財政的支援を行うべきであると主張いたしました。
また、不登校が急激にふえるのが中学生の時期であり、さらに東京都では、不登校経験を持つ生徒や中途退学者等を受け入れるチャレンジスクールを開設していることから、このチャレンジスクールを母体とした中高一貫校を開設して、不登校対策に取り組んでいくべきであると強く主張したところであります。
これを受け、石原知事が今月十四日、高尾山学園を視察され、学校並びに生徒を激励してくださったことに感謝を申し上げたいと思いますが、そこで、高尾山学園を視察された知事の率直な感想をまずお聞きしたいと思います。
あわせて、都としても全国に先駆けて、中高一貫校での不登校対策に取り組んでいくべきと考えます。知事の所見を伺います。
次に、私立学校の自主性の確保について伺います。
今国会で、教育関連三法案が先月衆議院を通過し、現在、参議院で審議されており、その中で、行政の私立学校に対する関与のあり方が争点となりました。
石原知事は、このことについて、さきの予算特別委員会において、法律改正に当たっては、間違っても私立学校の自主性を侵すことのないようにすべきと答弁されております。
そもそも私立学校法では、私立学校の自主性が尊重されるとともに、行政の関与が制限されております。このため、私立学校では、さまざまな教育活動が可能となり、中高一貫教育や体験学習などの取り組みを公立学校に先んじて導入してきました。
衆議院では、私立学校のこうした実績と、それを裏打ちする私立学校法の精神を生かす観点から、公明党は動議を提出し、知事が都道府県教育委員会に対し、学校教育に関する専門的事項について助言、援助を求める際には、私立学校と協議するものとし、教育委員会は私立学校の自主性を尊重することとの附帯決議が付されました。これは、私立学校の自主性が重要であることを改めて確認したものであります。
こういった流れを踏まえ、改めて私立学校の自主性に対する知事の所見を伺います。
次に、地球温暖化がもたらす気候変動について伺います。
本年公表された気候変動に関する政府間パネル、いわゆるIPCC第四次報告書は、熱波、干ばつ、降雨量の増加などの異常気象、氷河や北極の氷の溶解、海面上昇など、さまざまな事象から温暖化のスピードが加速していると明確に指摘しました。
地球温暖化は、未来の危機などではもはやなく、気候変動という形で、今日の都民にも影響を及ぼしている、今、そこにある危機であり、CO2の排出量削減など、早急な対策が不可欠であります。
そうした中、世界の大都市が連携してCO2削減に取り組むため、先月、ニューヨークで世界大都市気候変動サミットが開かれ、東京都からは石原知事が出席されました。その席上、東京水道の漏水率が三%台であることが参加都市からの驚嘆を呼んだことは、都民にとっても大きな誇りであります。
「十年後の東京」で、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現すると宣言した東京として、東京の水道が誇る技術を各国に提供すべきであります。そして、それがひいてはオリンピック招致の大きな誘引にもなると思います。水道技術の国際支援について、知事の見解を伺います。
また、水道局の経営や技術などのノウハウを各国の実務者に向けて広く発信すべきと考えますが、所見を伺います。
都が先般策定した気候変動対策方針に基づき、我が国で初めて、都が大規模CO2事業所に対し削減義務を課すなど、先駆的な施策を提起したことは大いに評価するものであります。
都は、大規模事業所の削減義務化と同時に、排出量取引制度を導入する方針ですが、排出量取引を実効性あるものにするためには、事業者が進んで参加できる条件整備が必要であり、あわせて、その取引でCO2削減の実効性を上げる仕組みづくりも必要であります。見解を伺います。
あわせて、東京全体のCO2排出量を削減していくためには、大企業だけでなく、中小企業や家庭の削減努力も重要であります。中小企業や家庭など、各部門の削減努力を促すには、それを支援するための経済的手法の活用が欠かせないことはいうまでもありません。
国は、環境税制について、いまだ方向性を示せないでおりますが、都が今回検討する省エネルギー促進税制では、中小企業や家庭が省エネ対策を進めた場合の具体的なメリットを示すべきであります。所見を伺います。
最後に、文化芸術政策について伺います。
我が党は、四十年前の政策の中で、世界文化の頭脳にふさわしい都市を目指すという提言をしました。東京こそ新たな文化の発信基地となるべきであるとの認識は、今も変わりありません。
我が党の推進で、東京都は、国の文化芸術振興法制定に先立つこと十八年、昭和五十八年には全国初の文化振興条例を制定しました。今後はさらにオリンピック招致を視野に入れて、文化先進都市東京の実現を目指すべきであります。
ところで、文化の先進都市を目指す東京の都民の日である十月一日が、世界的には国際音楽の日であることは余り知られておりません。この国際音楽の日は、一九七五年、当時の国際音楽評議会の会長であり、二十世紀の最高峰のバイオリニストであるユーディー・メニューイン氏が、紛争の絶えない世界を憂いて提唱し、一九七七年に制定されたものであります。
ことしがちょうどその三十年の節目に当たります。毎年、世界各国でこの国際音楽の日に、世界の人と音楽でつなぐ心の輪をモットーに、子どもからお年寄りまで、そしてプロとアマチュアの協同によるさまざまな音楽の特別イベントが開催されております。
東京都においては、一九九九年、文化庁主催の記念事業の一環として、東京都交響楽団と高校生のジョイントコンサートという形で事業が始まりましたが、現在は東京都交響楽団の事業にのみとどまっております。この東京都交響楽団には、一九六四年の東京オリンピックの記念文化事業として設立された経緯があり、今後はさらに活用を図るべきであります。
古代ギリシャの時代から、音楽はスポーツと並んで、人種や言葉の壁を乗り越え、世界じゅうの人々と喜びや感動を共有できる媒体でありました。したがって、十月一日の都民の日においても、東京大マラソンのようにプロもアマチュアも公募で募り、東京国際フォーラムやビッグサイト、東京芸術劇場や東京文化会館、江戸東京博物館、ひいては都立公園などでの野外コンサートも含め、東京音楽の祭典の日として、世界の人々と音楽で心をつなぐ日としてはどうかと提案します。見解を伺います。
ちなみに、ロンドンオリンピックが決定した際の大きな要因は、コンパクト開催もさることながら、文化プログラムのポイントが断然高かったことも有名であります。世界の強豪都市との熾烈な選考レースを勝ち抜くためには、IOCに提出する文化プログラムの策定も大変に重要であり、オリンピック招致に向けて、世界の人々を魅了するテーマを掲げていく必要があると思います。
そこで、提案させていただいた音楽の日事業も含め、東京の文化事業を総合化、体系化して、文化プログラムとしてまとめ上げ、世界に発信すべきであります。
知事の所見を伺い、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔知事石原慎太郎君登壇〕

○知事(石原慎太郎君) 谷村孝彦議員の代表質問にお答えいたします。
三期目における決意についてでありますが、多数の都民の皆様のご支持をいただき、三選を果たすことができました。今回の選挙では、世界一安心で安全な首都東京の実現という訴えに、大きな期待、強い共感が得られたと思っております。
治安の回復、医療の充実、高齢者や障害者が安心して生活できる社会の実現、次世代を担う子どもたちの健やかな成長なども喫緊の課題に、今後も全力で取り組まなければならないと思っております。
同時に、地球のあすをも左右しかねない地球温暖化などの環境問題には、我が国の対策を先導して、世界の諸都市と連携していく必要があると思っております。
そのため、過去二期八年の実績を踏まえて、東京の近未来図である「十年後の東京」の実現に向け、目に見える成果を積み上げていく決意でございます。いま一度初心に戻って、今後四年間の都政のかじ取りに全力で当たっていきたいと思っております。
次いで、オリンピック招致を契機とした都市インフラの「十年後の東京」に向けた整備についてでありますが、東京ほど、集中、集積が高度に進んだ都市は世界に類を見ないと思いますが、経済のグローバル化とアジアの地域間競争が激化する中で、東京の持つ本来の成長力や競争力を引き出す基幹的なインフラの整備がいかにおくれている、この現況であります。
オリンピックが都市に加速度的な変革をもたらすのは、歴史の例を見ても明らかでありまして、これをてことして、東京をより機能的で魅力的な都市につくり変えていくことが必要であると思っております。
「十年後の東京」で描いた三環状道路の整備、羽田空港の再拡張、国際化や横田基地の軍民共用化、さらには東京港のふ頭機能の強化など、陸海空を結ぶ交通、物流ネットワークの整備は、東京のみならず、我が国の国際協力を飛躍的に向上させるものであります。
大都市の力こそが国力の象徴でありまして、文明の推進力であるとの認識に立って、オリンピック招致を確かなものとするためにも、引き続き、対応の遅い国に強く働きかけながら、基幹的な都市インフラの整備に全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
次いで、横田基地の軍民共用化についてでありますが、横田の軍民共用化は、空港容量が限界に達している首都圏の航空機能を補完するとともに、首都圏全体に大きな経済効果をもたらし、ひいては我が国の活力を高めることになります。一方では、その首都圏のオープンスカイの要求が非常にふえておりました。
今回、この横田の軍民共用化の意義や効果について八都県市の首脳に理解していただきまして、共用化の早期実現について、国に対して明確に意見表明をしたことは、共用化の実現に向けて大きな力となるだけではなくて、米国に対しても強いメッセージになっていると思います。
都としましても、今後、日米協議の重要なテーマとなります軍民の両立性について、一橋大学の杉山学長をヘッドとします委員会で引き続き検討を行っておりまして、日米両政府のスタディーグループによる協議に反映させていきたいと思っています。
日米協議の促進については、安倍首相にも重ねて要請しまして、ASEANでの会議と先般の日米首脳会議でも、二度にわたって、首相からブッシュ大統領に対して念を押してもらいました。
スタディーグループでの協議は、外交交渉に係ることでありまして、現段階では具体的な案件について内容を明らかにできませんが、いずれにしろ、かんかんがくがくの活発な議論が行われておりまして、実現まであと一歩のところまで来たと思っております。
いずれにしろ、十月というロードマップがあるわけでありますから、そこでできるだけ大きな収穫があるように、この間も外務省の次官に会いましてハッパをかけてまいりましたが、引き続き協議の促進を両政府に強く働きかけるとともに、軍民共用化の早期実現に向けた取り組みを着実に進めていきたいと思っております。
税財源をめぐる国の動きへの対応についてでありますが、国は、地方を厳しい状況に陥らせておきながら、その責任をとることもなく、本来なされるべき国と地方の分権改革の議論を、都市対地方の構図にすりかえようとしているのは顕著であります。
全国の地方自治体は、このような国のこそくな手法に惑わされることなく、しっかりと連携して国と対峙して、問題解決の正当な道筋である地方税財政制度の抜本的改革の実現を目指すべきだと思っております。
そういう点で、来月の中旬に行われます熊本での全国知事会、私も当然出席しますが、先般も、全国知事会の会長をしております麻生さんがやってまいりまして、二人で合議しました。これほどほぞを固めて、会長の立場はいろいろあるでしょうが、とにかく仕切って、リードをし通して、私も全面的に協力するからと申しました。先日も、また、神奈川県、愛知県、大阪府の知事と四人で会談を行いまして、こうした立場からの緊急アピールも取りまとめました。昨日、官房長官に申し入れを行いました。
今後も、国の動きに対抗して、自治体間の結束をさらに強めながら、都議会の皆さんと力を合わせて、真の地方分権改革の実現に取り組んでまいりたいと思っております。
次いで、新銀行東京の経営体制についてでありますが、今般の見直しの中で、取締役会と執行役との意思疎通を強化する観点から、執行役を兼務する取締役を二名にふやしました。一方、取締役の数を減らし、コンパクトな体制ともいたしました。
また、新たに銀行出身の経営者を迎え入れ、都からは、組織運営のノウハウを持った職員を派遣しまして、事業執行体制の一層の強化を図りました。
今後においては、新経営陣の下で、経営体制についても引き続き不断の見直しが行われるよう、都としても働きかけてまいりたいと思っております。
次いで、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、先ほども申しましたが、次世代を担う子どもは国にとっての宝でありまして、子どもたちが健やかに育つ環境を整備することは、行政はもとより社会全体の責任であります。
都はこれまでも、認証保育所の創設や小児救急医療体制の整備など、国に先駆けて子どものためのさまざまな独自の施策を展開してまいりました。
子育てにかかわる経済的支援については、本来は国が実施すべきものでありますが、国の取り組みがまだ不十分であることから、先般の選挙でも公約としても、所得格差を踏まえつつ、中学三年生までの医療費負担をゼロにすると約束いたしました。この公約については、今後、実現に向けて準備を進めていきたいと思っております。
次いで、障害者の就労促進についてでありますが、「十年後の東京」では、障害者雇用を新たに三万人以上増加させるなど、自立と社会参加が進み、障害の有無にかかわらず、だれもが安心して暮らせる地域社会を目指しております。
この実現のために、本年五月に策定しました東京都障害者計画において、企業への就労支援体制を拡充し、経済団体など関係機関との連携を強化することといたしました。
今後、障害者雇用に先進的な企業が集積する東京の強みを生かしながら、社会全体でムーブメントを起こし、障害者雇用に対する理解と関心を高め、新たな雇用機会の拡大を図っていきたいと思っております。
次いで、生徒の全員就労を目指す特別支援学校の設置についてでありますが、障害者の自立と社会参加を進めるための雇用の充実は重要な課題でありまして、「十年後の東京」においても、東京の障害者雇用について、今後十年間で三万人以上の増加を目指すことといたしました。
このためにも、特別支援学校の職業教育、就労支援の一層の充実が必要でありまして、知的障害が軽い生徒の全員就労を目指す高等部の計画的な設置を含めて進めていきたいと思っております。
次いで、高尾山学園についてでありますが、先般、公明党の東村議員のご案内で行ってまいりました。あの体験活動を見ましたが、学校が一人一人の子どもの意欲を引き出そうと努力をしている姿勢は非常に評価されるべきものだと思います。
中には、大阪からわざわざ来て、アパートを借りて通っている子どももおりまして、非常にそういう点で刮目すべきものだと思いますが、やはり一貫していることは、中学校の高学年の子どもが、小学校の低学年の子どもをさながら兄弟のように、一種の責任感でみとって、一緒にスポーツなどをしているというのは、非常にほほ笑ましい風景だと思いました。
不登校の要因はさまざまでありまして、子どもたちの能力を伸ばすためには、固定化したパターンに当てはめずに、一人一人に応じたやり方が必要だと思いました。
不登校生徒の対策については、都教育委員会において対応しておりまして、引き続き、高尾山学園も参考にして、十分検討してもらいたいと思っております。
次いで、私立学校の自主性についてでありますが、これはもう言を要しないことでありまして、私立学校では、建学の精神に基づき、創意工夫による、それぞれ独自の教育が行われております。生徒、保護者の方々から高い信頼と評価を得ているのが現況であります。
こうした事実を考えれば、私立学校の自主性が国会で再確認されるのは当然なことだと思います。
都はこれまでと同様、私立学校の自主性を尊重していくつもりでございます。
次いで、水道技術の国際支援についてでありますが、世界大都市・気候変動サミットにおいて、水の有効利用に取り組むことで二酸化炭素の排出削減を図り、地球環境の保全に貢献すべきだと提言をしてまいりました。私よりも、前任者でございましたけれども、水道局長が同伴しまして、水道局長の講演は非常に説得性があったと思っております。
東京は長年にわたり漏水防止対策に取り組みまして、漏水率を三%台に低減させました。世界の各都市の漏水率は、先進国でも一○%以上が多く、途上国ではもう三十数%というていたらくでありますが、この東京の漏水率の低さは、みんなが驚くところでありました。
地球環境問題は、国家が役割を果たすことが重要でありますが、東京を初めとした世界の大都市が逆に国をリードしていく必要があるなという感じがいたします。
東京はかなり先進的なことをしておりますんで、各都市の報告は余り参考になりませんでしたが、ただ、やっぱり確認できたことは、どこの国も、大都市が頑張っても国の政府は余り動かぬ、そういう共通の悩みを確認したわけであります。
その一つとして、世界レベルにある水道技術、ノウハウを世界に向けて発信するとともに、東京が核となって、漏水防止を初めとする技術情報を交換する場を設けるなど、アジアを中心とした海外の水道事業体との交流促進策を積極的に検討してまいります。
こうした取り組みを重ねることが、ご指摘のように、オリンピックにも、かまけて東京のアピールにつながると考えております。
次いで、オリンピックの文化プログラムについてでありますが、IOCは、オリンピックの運動において、スポーツ、文化、環境の三つを柱としておりまして、熾烈な選考レースに勝ち抜くためにも、すぐれた文化プログラムを策定する必要があります。
現在、演出家の蜷川幸雄さんや、デザイナーの三宅一生さんといった世界に誇る当代きっての第一人者からな成ります東京芸術文化評議会、アートカウンシルで、文化プログラムについてご議論いただいております。
東京の持つ可能性というものを爆発させるような画期的な文化プログラムを策定し、オリンピック招致の実現を目指したいと思っております。
今、初めて知りましたが、都民の日ですか、これは、あってもなくてもいいような、何というんでしょうかね、よく実態のわからない記念日ですけど、これに重ねて、要するに世界音楽の日というものを重ねれば、五月の連休に東京フォーラムでやっているラ・フォル・ジュルネが、素人のオーケストラも加えて、とにかく赤ん坊も連れていって聞けるような音楽祭をやって大成功しておりますけど、そういう点では、私は秋にも同じ催し物を、外国から人を呼ばなくても、日本独自でやることは大変おもしろいんじゃないかと思っております。
他の質問については、教育長及び関係局長から答弁します。
〔教育長中村正彦君登壇〕

○教育長(中村正彦君) 東京都特別支援教育推進計画第二次実施計画についてお答え申し上げます。
都教育委員会では、職業的自立を目指した職業教育を充実するため、平成十六年に策定いたしました東京都特別支援教育推進計画第一次実施計画に基づきまして、知的障害が軽い生徒を対象とする特別支援学校高等部の設置を着実に進めてまいりました。
また、知的障害のある児童生徒の増加に応じました教室の確保や、肢体不自由の児童生徒の通学時間軽減等のため、特別支援学校の新設、増改修等につきましても積極的に推進してきたところであります。
第二次実施計画の策定に当たりましても、知的障害が軽い生徒を対象とした特別支援学校の設置につきましては、これまでの地域的な整備状況を踏まえまして計画的に取り組んでまいります。
また、地域の実情を把握しつつ、特別支援学校の再編整備等を進めて、特別支援教育の一層の充実を図ってまいります。
〔都市整備局長只腰憲久君登壇〕

○都市整備局長(只腰憲久君) 多摩都市モノレールについてでございますが、多摩都市モノレールは、一日平均約十一万人を輸送する、多摩地域における重要な公共交通機関であると認識しております。
モノレール会社におきましては、企画乗車券の発行など、乗客の増加策に加え、人件費等の経費削減に積極的に取り組んだ結果、平成十六年度以降は営業黒字を達成しております。
しかしながら、利払い等を加味いたしました経常損益では赤字が続いておりまして、平成十五年度からは債務超過となっております。この状態を解消するためにも、将来に向けて早期の経営安定化が不可欠であると考えております。
今後、会社に対しましては、さらなる経営努力を求めつつ、都といたしましても、関係者と調整、連携を図りながら、抜本的な経営改善に取り組んでまいります。
〔総務局長押元洋君登壇〕

○総務局長(押元洋君) 行財政改革など、二点のご質問にお答えを申し上げます。
まず、都の行財政改革のノウハウの提供についてでございますが、都はこれまで、国や他の自治体に先んじて、職員定数削減など徹底した歳出削減や、税収確保に向けたさまざまな取り組み、複式簿記・発生主義会計による新たな公会計制度の導入など、量と質の両面からの行革に積極的に取り組んでまいりました。
これらの先駆的な行革の取り組みに関しては、説明会の開催やツールの提供などを通じて、都独自のノウハウの提供に努めてきたところであります。
今後は、ご提案の趣旨を踏まえ、能力や業績に基づく人事給与制度改革や、持ち株会社方式による監理団体改革など、他の自治体からの関心が高い都の行革のノウハウを提供することによりまして、自治体の財政力の向上に資する改革の推進に貢献してまいりたいと存じます。
次に、都庁内における知的障害者の就労についてでございます。
障害者の方々が地域で自立した生活を実現する上で、就労の問題は非常に重要であると認識をしております。
障害者の方々の就労拡大を図るためには、民間と行政が密接に連携しながら、障害者雇用が広く社会に根づくような効果的な取り組みを行っていく必要がございます。
都としては、今後、国の動向等も踏まえながら、知的障害者の就労拡大に向けた取り組みを検討してまいります。
〔財務局長村山寛司君登壇〕

○財務局長(村山寛司君) 財政力格差是正論に対する今後の都の主張についてでございます。
国が、この議論を都市と地方の対立の構造にすりかえようとしている中、地方同士がより強固に連携して国に対抗していくためには、都の主張が、都市、地方を問わず、広く他の自治体から共感を得ることが不可欠であります。
そのため、都としてはまず、今日、多くの自治体が陥っている財政困窮の主たる原因が、この間、国が行ってきた地方交付税の大幅な削減にあることを実証的に明らかにしてまいります。
同時に、この問題の解決は、国から地方への権限と税源の移譲、地方交付税を含む財政調整機能の充実、これらを一体的に実現することでこそ可能であるということをさらにわかりやすく主張してまいります。
今年秋を目途に、これらの主張を盛り込んだ冊子を取りまとめ、この冊子を活用することなどにより、全国の自治体の理解を一層深め、ともに手を携えながら、真の地方分権改革の実現に向け取り組んでまいります。
〔産業労働局長佐藤広君登壇〕

○産業労働局長(佐藤広君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、新銀行東京の中小企業支援についてですが、新銀行東京は、開業後二年間で約一万六千六百件の融資・保証を実行してきており、中小企業金融において重要な役割を果たしてまいりました。
新中期経営計画では、対象顧客の小口化による融資件数や顧客数の拡大に重点を置くとともに、新たに一般融資の取り組みも充実するなど、中小企業向け融資の強化を図ることといたしました。
また、都の制度融資につきましても、五月より全店舗で取り扱いを開始したところでありまして、中小企業のニーズに応じて幅広い支援を行っていくこととしております。
都といたしましても、株主の立場から、新銀行東京が中小企業金融において、その役割をしっかり果たしていくよう、積極的な働きかけを行ってまいります。
次に、中小企業の事業環境の整備についてですが、中小企業者が都内で事業を継続できる環境を整備することは、東京の産業力の維持強化を図る上で重要な課題と認識しております。
都はこれまでも、特別工業地区建築条例を廃止するなど、中小製造業の立地に関する規制を見直したほか、事業承継時の税負担の軽減を国に提案要求するなど、事業環境の整備に努めてまいりました。
さらに、今年度より、中小企業の事業承継を円滑に進めるため、学識経験者、弁護士、公認会計士等で構成する研究会を設置し、検討を開始したところでございます。
今後とも、中小企業が安心して操業できるよう、中小企業の厳しい状況を踏まえ、事業環境の整備に積極的に努めてまいります。
次に、若者ジョブサポーター企業への支援についてですが、都におきましては、インターンシップの受け入れなど、若者の職業的自立を支援する若者ジョブサポーター企業を募集いたしまして、現在、約三百の企業が登録をしてございます。
これらの企業につきましては、ホームページや冊子でその活動を周知いたしますとともに、直接若者へのPRを行う場としてジョブ・パーティーを開催するなど、その人材確保に資する取り組みを行っております。
今後は、ジョブ・パーティーの開催回数をふやし、より多くの若者や企業の参加を募るとともに、新たに大学、高校などに対しまして、きめ細かくインターンシップの情報を提供するなど、若者ジョブサポーター企業への支援を強化してまいります。
次に、障害者の就労支援についてですが、障害者の就労を促進するためには、個々の障害者の状況に応じまして、支援機関等と協働して、生活支援や能力開発など、さまざまな支援を効果的に実施していく必要がございます。
都ではこれまで、しごとセンターにおきまして、障害者からの相談に対し訓練機関を紹介する等の対応を行ってまいりました。
また、心身障害者職能開発センターでは、職業訓練に加えまして、本年度から、国や地域の就労支援機関との連携によりまして、雇用機会の拡大を図る総合コーディネート事業を開始いたしまして、雇用啓発セミナーの実施等にも取り組んでいるところでございます。
今後は、心身障害者職能開発センターのコーディネート機能の充実を図りつつ、しごとセンターの就職支援機能との連携を強化いたしまして、より一体的に障害者の就労支援を進めてまいります。
最後に、生活保護受給者に対する職業訓練についてですが、現在、職業能力開発センターでは、就労支援プログラムの一環といたしまして、生活保護受給者であります母子家庭の母を対象といたしました年間百五十名規模の短期特別訓練を実施しております。
また、一般向け職業訓練では、母子家庭の母や四十五歳以上の求職者に対する入校優先枠を設けております。
今後は、福祉事務所やハローワークとの連携を強化いたしまして、この優先枠の活用を一層促進してまいります。
さらに、現在、優先措置の対象となっておりません就労支援プログラムにおける他の生活保護受給者につきましても、その対象に加えることを検討してまいります。
〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

○福祉保健局長(安藤立美君) 八点の質問にお答えいたします。
まず、子育て応援戦略会議についてでございますが、子育て支援につきましては、子育てと仕事が両立できる雇用環境の整備を初め、課題は広範囲にわたっており、福祉、労働、住宅など、幅広い取り組みが必要であることから、先般、副知事をトップとした局横断的な子育て応援戦略会議を設置いたしました。
さらに、行政、企業、大学、NPOなどで構成する、子育て応援とうきょう会議(仮称)を設置し、社会全体で子育てを支援する機運を一層高めるとともに、専門家や若者、子育て中の親から意見などをいただくことにいたします。
今後、都としては、これらの意見も参考にしながら、効果的で実効性のある子育て支援策を鋭意検討してまいります。
次に、待機児童解消のための抜本的な解決策についてでありますが、都はこれまでも、認可保育所の設置促進を図るとともに、都独自の認証保育所の創設などにより、保育サービスの充実に努めてまいりました。
一方、都内には相当数の潜在的な保育ニーズが存在しているため、待機児童数は、ここ数年横ばいで推移しています。
今後、「十年後の東京」で掲げた待機児童五千人の解消に向け、子育て応援戦略会議におきまして、保育所定員の増だけでなく、多様な保育サービスのさらなる拡充を含めた総合的な子育て支援策を検討し、その実現に取り組んでまいります。
次に、就労移行支援事業の実施の拡大についてでありますが、障害者の雇用拡大を図る上では、障害者が一般就労に必要な知識、能力を習得し、適性に合った職場探しなどを行う就労移行支援事業を充実させることが有効であります。
このため、身近な地域で障害者が就労移行支援事業を利用できるよう、都は、各区市町村が計画的、重点的に取り組むことを働きかけております。
さらに、ご指摘のとおり、規制緩和により本事業への民間企業等の参入が可能となったことを好機ととらえ、さまざまな民間企業が集積しております東京の特性を生かし、障害者雇用のノウハウを持つ企業を初め多様な事業主体の参入を促し、本事業の拡充を図ってまいります。
次に、生活保護受給者の自立についてでありますが、これまで、各福祉事務所にハローワークのOBを就労支援員として配置するなど、自立に向けた取り組みを強化したことにより、就労実績は拡大をしてきております。
今後、就労自立をさらに促進するためには、就労意欲が低い人や生活習慣が確立していない人を支援する体制づくりが重要であります。
都は、独自に設置をいたしました自立支援ネット会議におきまして、各福祉事務所における生活支援の効果的な取り組み事例などについて研究、協議を行っており、福祉事務所の職員がその成果を共有することで、さらなる能力向上を図ってまいります。
また、国の補助制度の活用を各区市に働きかけ、生活支援を担う人材の確保などに努めてまいります。
次に、介護報酬の不正請求を根絶するための具体的な取り組みについてでありますが、不正請求を防止するためには、保険者である区市町村の取り組みが重要でございます。
都は、介護報酬の給付の適正化を図るため、これまでの方策に加えまして、今年度、都及び区市町村の具体的な取り組み内容を盛り込んだ東京都介護給付適正化プログラムを作成いたします。
このプログラムにおきまして、ヘルパーの訪問時間の確認などを行います利用者宅訪問調査や、不適切なサービス給付を見直すケアプランチェックなど、先駆的な事例を示すことで、区市町村の効果的な取り組みを促進してまいります。
今後とも、都は、区市町村が積極的に介護給付の適正化に取り組めるよう支援してまいります。
次に、自殺総合対策東京会議についてでありますが、自殺は、個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、多様かつ複合的な原因及び背景を有するものであることから、その対策に当たりましては社会的な取り組みが必要でございます。
東京会議は、自殺対策に関する取り組みの推進基盤でありまして、保健・医療・福祉、経済・労働、教育等の関係団体や、防止活動を行う民間団体、有識者など、多様な主体の連携、協働の場として、七月上旬に設置をいたします。
この会議では、事前予防、危機対応、事後対応に関する分科会を設けて、多角的な観点から協議等を行い、都民に対して自殺問題に関するメッセージを発信し、社会全体での取り組みにつなげてまいります。
次に、自殺総合対策の具体的な施策展開についてであります。
東京会議での協議等を踏まえて、問題への認識や社会的取り組みの必要性などについて、広く都民の理解を促進し、その予防を図るため、自殺防止東京キャンペーンを実施するなど、広報、普及啓発に取り組んでまいります。
また、東京における自殺の実態を把握するとともに、危機を早期に発見し、対応するための相談・支援体制の構築や、遺族、未遂者に対する支援策の検討に着手をいたします。
なお、自殺対策は、総合的、組織横断的な取り組みが必要であることから、関係各局から成る連絡会議を設置し、多重債務者対策やいじめ対策などの関係施策と調整を図りながら、全庁的に推進をしてまいります。
最後に、自殺を水際で防ぐ取り組みについてでありますが、自殺を未然に防止するためには、その危険性が高い人を早期に発見し、専門機関による相談・支援につなげることが重要であり、こうした役割を身近で担う人材として、今年度からゲートキーパーを養成することといたしました。
その養成に当たりましては、都独自に養成プログラムを開発するとともに、地域や職域における保健師等の専門スタッフを指導者として養成してまいります。
また、医療機関や相談機関などが相互に連携した相談・支援ネットワークを構築するなど、自殺防止に向けた専門的な対応力強化のための施策の充実に努めてまいります。
〔水道局長東岡創示君登壇〕

○水道局長(東岡創示君) 水道局が持つ経営や技術などのノウハウを発信すべきとのご質問にお答えします。
水道局ではこれまで、国際協力機構いわゆるJICAなどと協力し、アジア、アフリカへの職員の派遣や研修生の受け入れなどを行うとともに、アジア大都市ネットワークや日本水道協会と連携した取り組みを実施しております。
こうした取り組みに加えて、今後、当局の漏水防止技術につきまして、外国語版のガイドブックを充実させ、早期に海外の実務者向けのものとして発信してまいります。
さらに、本年十一月に当局の研修・開発センターで開催される、水道サービスに関する国際規格を決める会議に向けて、海外水道事業体との交流を促進するため、双方向で情報交換できる仕組みを構築し、当局がこれまで培ってきた経営や技術などのノウハウを広く提供してまいります。
〔環境局長吉川和夫君登壇〕

○環境局長(吉川和夫君) 二点のご質問についてお答えをいたします。
まず、排出量取引制度についてでありますが、この制度は、大規模CO2排出事業所が、みずからの対策のみで削減目標を達成できない場合に、他の事業所からの削減量の購入を認めることにより、目標の達成を可能とする制度でございます。
都での導入に当たりましては、大規模事業所だけでなく、削減義務を負わない中小規模事業所がCO2削減量を大規模事業所に売却することも可能とするなど、幅広く事業者が参加できる仕組みとしてまいります。
また、削減量の認定方法など、取引ルールの整備を行いまして、実効ある制度づくりを進めてまいります。
次に、省エネルギー促進税制についてでありますが、家庭や中小企業の省エネルギー対策を推進するためには、温暖化対策としての省エネの意義に関する意識啓発や、家電製品等に関する省エネ技術の開発促進に加え、省エネ行動が広がるような仕組みづくりが重要であり、とりわけ、金融商品の開発や税制などの経済的手法の活用が有効でございます。
こうした観点から、省エネルギーの促進のための新しい税制について、省エネ投資等の促進、省エネ行動への誘導など、幅広い角度で東京都税制調査会を活用しながら検討してまいります。
〔生活文化スポーツ局長渡辺日佐夫君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君)  東京音楽の祭典の日のご提案でございますが、先ほど知事から答弁があったとおりでございます。
都はこれまで、東京都交響楽団によるさまざまな演奏会、すぐれた舞台芸術を低廉な料金で鑑賞できる都民芸術フェスティバル、子どもたちがプロの音楽家と直接触れ合える子ども向け舞台芸術参加・体験プログラムなど、都民が音楽に親しめる機会の充実に努めてまいりました。
現在、東京芸術文化評議会において、世界文化都市・東京を実現するための文化戦略について議論しているところであり、都民の日である十月一日を、東京音楽の祭典とするアイデアにつきましても、東京芸術文化評議会の意見を踏まえ、芸術文化の一層の振興を図ってまいりたいと存じます。