平成26年 第1回定例会 予算特別委員会締め括り総括質疑

平成26年 第1回定例会 予算特別委員会締め括り総括質疑〇谷村委員 それでは、都議会公明党を代表して締めくくり総括質疑をさせていただきます。
 知事は、一月十四日に都知事選挙に向けての出馬表明をされて、それからすぐに十七日間の熱い選挙戦に突入をされました。熱い選挙戦といっても、実際は大雪が降って寒い中での選挙戦でございましたけれども。そして、ご当選後、すぐにソチに飛ばれて、五十日間、知事が不在というオリンピック・パラリンピックのおくれを取り戻そうという、その意気込みでソチに飛ばれ、お戻りになりましたら、すぐ都議会第一回定例会が開催ということになりました。
 本日でちょうど七十日間、約十週間になりますけれども、この間、私どもが聞かれる質問は、新しい都知事はどうですか、あるいは舛添さんどうですかというふうによく聞かれます。その都度、私は皆様に、本当にすばらしい知事を選んでくださいましてありがとうございますとお礼を申し上げている次第でございます。
 今回の都知事選挙は、シングルイシュー選挙をもくろんだり、あるいは劇場型選挙を目指したりする動きもありましたけれども、万が一そんな都知事が誕生すれば、私はもう東京はおしまいだなと、東京は終わりになってしまうなという危惧をいたしておりました。しかし、東京都民の皆様は良識を示してくださいました。これでまた、東京の明るい展望が開けた思いでございます。
 昨年、東京は、オリンピック招致を実現するという輝かしい成果をかち取りましたけれども、それをかき消して余りあるほどの大変残念な出来事、最悪な出来事があったわけでございます。そして、二人も続いて知事が任期途中で辞職をするという、都知事という職責、都知事という存在というものがまさに地に落ちるのではないかというような事態でございました。
 大悪が起これば大善が来る、悪いことがあればその後によいこともあるんだという言葉がありますけれども、私は、舛添知事は、このときに知事になるべくしてなられた知事ではないかなというふうに思っているわけでございます。
 初めて都議会の場で知事の施政方針演説が行われました。二月二十六日であります。私は、この施政方針演説、大変に感銘をいたしました。マスメディアでは世界一という言葉だけがとられておりますけれども、少し代表的なものだけ紹介いたしますと、額に汗して積み重ねた努力が正当に報われる、そう信じることができる社会であるからこそ、人は将来に夢と希望を持つことができます、その信頼を担保し、人々に明るいビジョンを提示するのが政治の役割です。
 また、私は国をただあしざまに批判するような姿勢はとりません、一見勇ましい批判が時に喝采を浴びたとしても、それが都民生活の向上につながらなければ、全く意味がありません。
 都民生活の向上というふうにおっしゃった知事が、この十年間いたかなという思いがしたわけですけれども、そういう言葉を聞かなかったなという、そういう思いをしたわけです。
 必要なものはリアリズムであります、実行力である、その結果の責任をとること、これが政治の基本であるとまでいわれております。(発言する者あり)また、政治は強い者のためにでなく弱い者のためにある、これが私の政治哲学であるとまでおっしゃっております。
 さらには、地をはうアリの目を持って、つぶさに現場を見詰め、そこに暮らす都民の皆様方の声を直接受けとめて、地域が抱える問題にきめ細やかに対応してまいる。
 そして、今ちょっと騒いだ、あちら辺の方に申し上げたいんですけれども、いかにすばらしい理想や言葉を並べても、実現できなければ何の意味もありません、政治は結果責任であります。
 そして最後には、先ほども出ておりましたけど、マックス・ウエーバーの職業としての政治の引用をされて、ご自身の言葉で、たとえ困難な道であっても、地に足をつけ、前へと歩みます、その評価は歴史の審判に委ねる覚悟であります、その覚悟と勇気を持つ者だけが、都民、国民に明るい未来と本当の幸せをもたらすことができると確信しておりますという言葉で結ばれているわけであります。
 まさに歴史的な施政方針演説であり、私自身が学んできた政治学そのものであり、私が目指す政治そのものであります。これは公明党が目指すものといってもよろしいかと思うんですが、済みません、了解をいただいていないのであれですけれども。
 本日の締めくくり総括質疑で議会論戦は一段落をします。これまでの激闘の七十日間を踏まえ、いよいよ新年度もスタートいたします。改めて舛添知事の意気込みをお聞かせ願えればと思います。

〇舛添知事 谷村委員から大変過分なお言葉を賜りまして、ありがとうございました。
 私はこの都議会において、各党の皆様方と真摯に議論をして、一つ一つ教えていただいている。全部自分がわかっているとは思っておりません。そういう真摯な議論を通じて、一歩ずつ都政を前に進めたいと思っております。
 今おっしゃいましたように、まさに極めて異常な状態で都知事に就任いたしました。そういう中で、都政の空白を埋めるために、普通二カ月かかる予算の査定を三日間で終えるというようなことをやりまして、今、この議会でご審議をいただいている最中の、この新年度予算でございます。最終日まできちんと議論をして、議会に臨みたいと思っております。
 また、無事に議決いただくということを前提にいたしました上で、この新しい予算をもとにしていい種をまいていって、大きな花を咲かせたいというふうに思っております。
 そして、これから現場を見ていって、例えば待機児童ゼロという作戦についての具体的な工程表をつくりたいというふうに思っております。
 都民の代表である都議会の皆様方と議論をしながら、世界一の都市東京へと近づけていきたいと。私は、この議会で皆さん方と議論すること、これは本当に先ほど申し上げましたように勉強になりますし、とりわけ谷村孝彦委員の明るい笑顔に励まされていることをつけ加えておきます。ありがとうございます。

〇谷村委員 大変にありがとうございます。ぜひとも都民の皆様のご期待にお応えできますように、政治哲学、あるいは政治理念を同じくする私どもも、政策提案、あるいは政策立案を競う思いで、全力で取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 本定例会では、いまだかつてないぐらい都市外交についての質問が大変多くありました。これは、知事が国際政治学者としてご活躍をされてきたことに対する熱い期待のあらわれであると思います。
 そして、三日前に内閣府が社会意識に関する世論調査の結果を発表しております。このときに、これは毎日新聞ですけれども、見出し、社会に満足六〇%。よい方向に向かっている分野は、景気が前回の一一%から二二%に倍増した。悪い方向に向かっている分野は、外交を選んだ人が最も多く三八・四%。こういうことも背景にあるのではないかと思います。
 知事はご答弁の中で、都市外交の大前提として、外交は国の専管事項でありますと。おっしゃるとおり、ごもっともでございます。
 時に国益と国益が激しくぶつかり合う国家間の外交に、同じ次元で都市外交が入り込んでしまうと、私は百害あって一利なしと思っております。その典型的な過ちを、私は目の当たりにしたような思いがあるわけでございます。
 知事は本会議で、都市には都市だからこそできる外交があると考えていると何度もご答弁されております。では、何ができるのかというところで、私はキーワードとしてレジリエンスという言葉を上げさせていただきたいと思います。
 物理学の分野の言葉でありますけれども、外から加えられた力、この力に対して物質がもとの状態に戻ろうとする弾性、弾力性という言葉をあらわす言葉ですけれども、その働きを敷衍する形で、環境破壊や経済危機のような深刻な外的ショックに対して、社会を回復する力、復元力という意味合いで用いられたりもいたします。さまざまな分野で注目を集めている概念であります。
 二〇〇一年、二十一世紀に入りまして今十四年目を新世紀は迎えております。
 最初の二十一世紀の十年間は、ハリケーン・カトリーナ、あるいはパキスタンの大洪水、アマゾン川の流域での干ばつ、犠牲者は約三十七万人を超えているといわれております。
 そして、二〇一一年、第二の十年に入りました。その二〇一一年には東日本大震災に始まり、そして昨年、二〇一三年だけでも台風三十号によるフィリピン、ベトナムに対する深刻な被害、ヨーロッパ中部やインドの豪雨などによる大洪水、また北半球の熱波、こうした直接的な被害以外にも、気候変動は農業、漁業、林業などに深刻な影響を与え、世界全体で年間二千億ドル、日本円にして二十兆円の被害を毎年毎年、深刻な被害を与えているといわれております。
 こうした大災害時には、日ごろの国家間の利害を抜きにして、大規模な国際協力が、支援の体制がとられるわけですけれども、大災害が起こったときの協力体制というのがなぜ平時にできないのかということも指摘をされているわけであります。
 急を要する災害救援、七十二時間がめどでありますので、これは国家間としての対応として必要でありますけれども、その後の復旧、復興というのは長い時間、年月を要するわけであります。
 また、復興、復旧という必要がない地域であれば、事前の備えとしての防災の取り組みということもあるかと思いますけれども、こうした概念を都市外交でレジリエンスをつくっていけないものかという、そういうお話、ご提案をさせていただくわけですが、舛添知事に初めてお会いをさせていただいたときに、ご出身の北九州市と、そして中国の大連市が姉妹都市交流を結ばれていて、これが環境分野で大変いい効果をあらわしているというお話を伺いまして、大変深く感銘をいたしました。
 これを日本と中国、あるいは日本と韓国で姉妹都市交流を結んでいるそれぞれの地域で、そうした取り組みをすることができないかということなんですけれども、復興、防災、あるいは環境、文化交流など、レジリエンスをキーワードに姉妹都市交流を太く大きく展開できないかと。
 ちなみに、日本と中国の都市と都市の間で姉妹都市交流が行われている数が幾つあるか。きのう、ある人に聞いたら五十ぐらいですかとおっしゃっていましたけど、これは実に三百五十の都市と都市の間で--線を結んで見ていただければすごい数になります、日本と中国の都市と都市の姉妹都市交流というのは、三百五十の姉妹都市提携があるわけです。
 日本と韓国は百五十の姉妹都市交流があります。中国と韓国を調べますと、約百五十、姉妹都市提携がなされているわけであります。
 ちなみに、都道府県単位で申し上げますと、中国とは日本の三十四の都道府県で姉妹都市提携が、また、韓国とは十二都道県の間で姉妹都市交流が行われております。
 また、都内の市区町村で申し上げますと、中国とは十区一市一町、韓国とは五区一市で姉妹都市提携ができているわけでございますが、こうした姉妹都市交流というものを、繰り返しになって申しわけありませんが、復興、防災、環境、文化などの交流を進めていく協定などに上げていって、東京が、舛添知事が旗振り役になって、率先してそれを進めていくことによって、結果としてそれが国家間そのもののレジリエンスとしてできていく。どんなに時間がかかっても築いていってはどうかと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。

〇舛添知事 今、谷村委員が、本来物理学の用語であって、余り聞きなれないレジリエンスというお言葉をお使いになりました。谷村委員がいろいろお読みになっているもの、私も外交の分野で読んでおりまして、アジア地域フォーラム、こういう中で、災害が起こったときにどう救援するか。いろんなシステムをつくることも大事だけれども、人々の間の地域のつながりによって相互に助けると、こういうことが必要だという、そういう意味で、国と国の関係も、人と人のつながりによって、関係が悪化したら、すぐ人々のきずなによって立ち直ると、そういう意味だと私も理解しております。
 そういう中で、今ご指摘のように、環境問題とか、災害の問題とか、福祉であるとか、国じゃなくても都市でも十分やれる外交があって、それは、外交安全保障は国の専管事項であることは間違いありませんけど、今、数多くの例を出された姉妹友好関係とか提携関係がある、そういう中の一端を我々も担うということは、長期的に見て隣国との関係をよくすることにもつながると思いますので、ぜひそれは東京の都市外交として実現していきたいと思っております。

〇谷村委員 大変に深いご理解をいただきまして、ありがとうございます。
 よきことはカタツムリの速度で動くというのはマハトマ・ガンジーの言葉であります。姉妹友好都市の取り組みに行政目標というものを明確に位置づけて、遠い道であっても、ぜひとも歩みを進めていきたいと。知事とともに議会も頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。
 さて、この四月から消費税が五%から八%まで引き上げられます。この消費税の引き上げは、社会保障の財源として引き上げられるものでありますので、それぞれの部門が適正に転嫁を行い、社会全体でその負担を分かち合うことが不可欠であります。
 そこで、東京都の一般会計における使用料、そして手数料の改定の基本的な考え方、そして今回の消費税引き上げへの対応についてお伺いをいたします。

〇中井財務局長 使用料、手数料は、サービスと受益が明確に対応する事務事業に関し、住民間の負担の公平を図る観点から、サービス提供に必要な経費を受益者に負担していただくものでありまして、原則として二年以上見直しを行っていない使用料等を調査し、受益者の負担とすべき原価と現行料額との間に乖離がある場合に改定の対象としております。
 また、お尋ねの消費税率引き上げへの対応につきましては、一般会計では消費税の納税申告義務がないことから、単純に今回の三%分を転嫁することはありませんが、サービスの提供に当たり、都が負担する消費税の増分、これがコストとして原価に算入されることになりますので、これが具体的な数字としてあらわれてきます平成二十六年度決算の実績を踏まえまして、使用料、手数料の改定の必要性を個々に検討してまいることになります。

〇谷村委員 ありがとうございます。
 この使用料、手数料を改定する際には、都民の皆様に丁寧に説明をしていただきたいと思いますが、財務局長、もう一言お願いをしたいと思います。

〇中井財務局長 使用料、手数料は、都民に必要な経費を負担していただくものでございますから、ただいま委員ご指摘のとおり、十分な理解が得られるような説明責任を果たしていく必要があると考えております。
 また、使用料等の設定は、サービス提供に係る原価が基本となることから、事業評価等を通じて効率的な事業執行に努め、都民負担が過大とならないよう、引き続き心がけてまいる所存でございます。

〇谷村委員 そこで、消費税に関連して、最後もう一問お願いをしたいと思いますが、都民生活に最も身近な水道料金、これの対応についてはどうなりますでしょうか。

〇吉田水道局長 今回の水道料金改定は、消費税率の引き上げに伴い、基本料金と従量料金の合計額に乗じる率を百分の百五から百分の百八に改定するものでありまして、基本料金及び従量料金そのものの変更は行いません。
 また、適用時期につきましては、二カ月に一回の検針を原則としているため、全てのお客様が新税率の適用を受ける六月分料金から改定することとしており、負担の公平性について十分配慮しているところでございます。
 なお、転嫁に当たりましては、水道メーター検針時にチラシを各戸に配布するほか、新聞折り込みの水道ニュースやホームページなどさまざまな媒体を用いて丁寧に周知するとともに、お客様からの問い合わせにもきめ細かく対応するなど、十分な理解が得られるよう努めてまいります。

〇谷村委員 ありがとうございます。くれぐれもよろしくお願いをしたいと思います。
 ここからは、世界一の福祉都市東京の構築に向けて、福祉施策の目下の課題について質問をさせていただきます。
 昨年四月に施行されました障害者総合支援法では、支援の対象に難病等が加えられました。障害者自立支援法のときには精神疾患が入りました。今回は、難病もこの福祉サービスの対象になったわけであります。百三十の疾患が、いわゆる難病患者の方々が、日常生活用具給付等の制度、福祉サービスを利用することができるようになったということは大前進であります。
 また、難病疾患の患者の方々に対する医療費助成、この制度を初めとする難病支援対策全体の改革については、本年一月の厚生科学審議会疾病対策部会において、この強化に向けた取り組みの全体像が示されたところであります。
 さらに、難病の患者に対する医療等に関する法律案、これが既に国会に提出され、審議中であります。大変大きな改革になりますので、この今回の法案の特徴についてご説明をお願いいたします。

〇川澄福祉保健局長 今回の法案では、難病患者への公平かつ安定的な医療費助成制度を確立するほか、難病施策推進のための基本方針の策定、難病医療に関する調査研究の推進、患者の療養生活の環境整備などを図ることとしております。
 このうち医療費助成については、長期の療養による医療費の経済的な負担が大きい患者を支援するため、対象疾患を現在の五十六疾患から約三百疾患に拡大するとしております。
 また、他の医療費助成制度との整合を図るため、生計中心者から世帯単位への所得把握の変更、所得に応じた自己負担限度額の見直しや、窓口での自己負担割合の三割から二割への引き下げなどが行われることとなります。
 なお、既に医療費助成を受けている患者につきましては、自己負担限度額など三年程度の経過措置を設けることとしております。

〇谷村委員 このたびの改革は、大変多岐にわたるばかりでなく、内容を見ましても、今ご説明をいただきましたけれども、大変大きな制度改革になります。
 国の試算によれば、対象疾患が五十六から三百に拡大するために、医療費助成を受けられる方は二倍になります。平成二十三年度の約七十八万人から、来年、平成二十七年度には約百五十万人にもなると見込まれております。これまで医療費助成を受けられなかった難病の方々、患者の方々が大変大きな期待を寄せておられます。
 一方、この法案成立後、法施行に向けた準備において、十分な期間が確保できるかどうかなど大変不安な要素もあるわけでございます。
 そこで、今後想定されるスケジュールについてお伺いをいたします。

〇川澄福祉保健局長 国は、法案成立後、速やかに厚生科学審議会に有識者による第三者的な委員会を設置し、医療費助成の対象とする疾患の選定や認定基準等の策定を行うとともに、政省令等により認定申請や医療費支給の手続等の詳細を定めることとしております。
 医療費助成の対象疾患は、現在の五十六疾患から、来年の一月一日の法施行時に、既に診断基準のある約百五十疾患に拡大する見込みであり、さらに来年夏ごろを目途に対象疾患を追加し、合わせて三百疾患とする予定でございます。

〇谷村委員 より多くの難病患者の方々が医療費助成を利用できるようになる、本当にすばらしいことだと思います。
 ただ、現在、国が予定しているスケジュールは非常にタイトで、今お話ございましたけれども、準備期間が短く、かなり厳しいといわざるを得ません。
 これまで同様、医療費助成の実施主体というのは東京都になります。制度開始までに都としてどういう取り組みが必要になってくるのか、お伺いをいたします。

〇川澄福祉保健局長 新制度では、都内の認定患者が現在の約七万五千人から十五万人程度にまでふえる見込みであり、既に認定を受けている患者や新たに医療費助成の対象となる患者に制度改正の内容を確実に周知する必要がございます。
 また、医療費助成の申請に必要な診断書は、都が指定する医師が記載することとされており、約三百に及ぶ疾患について、診断を行える医師を確保するとともに、医療費助成を申請しようとする患者へ可能な限り早期に難病指定医のリストを公表する必要もございます。
 このほか、対象疾患拡大等に伴う都の医療費助成システムの改修や、医療費助成の申請窓口である区市町村への新制度の周知など、さまざまな準備が必要となります。

〇谷村委員 繰り返しになりますけど、本当に大きな改革でございますので、クリアすべき課題も多いかもしれません。
 最も重要なのは、難病患者の方々や医療機関が混乱することなく、円滑に新たな制度へ移行できることであります。そのためには、新たな制度への周知を広く徹底していただくなど、都としても万全を期していただきたいと思います。
 そこで、この新しい制度に移行するに当たって最も重要なのが、これまで国が指定をしております五十六疾患以外に、東京都が単独で医療費助成をしてきました二十三の疾患があります。これが五十六から三百疾患になるときに、東京都が単独で指定してきた二十三疾患がちゃんと入れば問題はないわけですけれども、万々が一入らなかった場合、どうなるのかという大変心配をされているお声も寄せられております。そのときは、都がしっかりと適切な対応をしていただきますようにこの時点でお願いをしておきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 公明党は、今回の法改正などで難病と闘う方々へのさらなる支援の充実につながりますよう、今後とも全力で取り組んでまいりたいと思っております。
 続きまして、高齢者の孤立死への対応について質問をいたします。
 ここ数年、自宅で亡くなられたことに近隣の方々が気づかれないで、相当の日数を経てから発見されるという、いわゆる孤立死という痛ましい報道が後を絶ちません。
 これは東京二十三区のデータでありますけれども、六十五歳以上のひとり暮らしの方がご自宅でお亡くなりになった数は、ここ数年、毎年毎年二千人を超えているという事実があります。
 地域で支え合い、異変に早期に気づいて、命を守る仕組みとしての見守りが注目をされております。守れるはずの命を守る取り組みであります。この見守りは、自治体にとって喫緊に取り組むべき行政課題となっております。
 こうした状況を受け、都として見守り体制の構築を図るため、これまでどういう取り組みをされてきたのか、ご説明をお願いいたします。

〇川澄福祉保健局長 都はこれまで、自治会、町会や民生委員、ライフライン事業者などによる高齢者等の見守りを行う区市町村に対して、包括補助を通じて支援しているほか、シルバー交番設置事業により、地域の高齢者等を見守る拠点の充実を図ってまいりました。
 また、今年度から、地域住民が高齢者等を日常的に見守る、見守りサポーターの養成に取り組む区市町村を新たに支援するとともに、講師となる人材の育成研修を行っております。また、地域住民の方向けには、異変への気づきや相談しやすい体制の確保など、見守り活動を行う際のポイントをわかりやすくまとめた、住民の皆さんのための高齢者等の見守りガイドブックも作成をいたしました。
 今後とも、区市町村と連携し、地域資源を活用した高齢者の見守り体制の一層の充実を図ってまいります。

〇谷村委員 都のこうした取り組みにつきましては、私ども公明党も大変高く評価をさせていただいております。
 社会全体で、例えば新聞販売店さんなどの地域事業者との連携も非常に大事になってまいります。
 そこで、都民あるいは都政にとって一番身近な水道事業でございますけれども、市長会からも要望が出ているようでございます。水道局におかれましても、積極的に連携して、取り組みを開始していただければと思いますが、局長の見解をお願いします。

〇吉田水道局長 高齢者などの見守りは、重要な生活支援であると認識しており、福祉関係部署との連携を含め、水道事業者としての対応可能な実施策を検討しております。
 具体的には、各戸の水道メーターを定期的に検針などする際、お客様の異変に気がついた場合に、当局から区市町に対し情報提供を行うなどの対応策を取りまとめてまいります。その上で、区市町の福祉関係部署や検針委託会社と協定を締結するなど、早期に高齢者などの見守り体制を構築してまいります。こうした取り組みにより、ライフライン事業者として積極的に福祉行政との連携を図ってまいります。

〇谷村委員 大変に心強いご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 あの歴史的な知事の施政方針演説の中でも、地域での見守りなどを充実させて、あたかも地域全体が介護施設であるかのようにサービスを行き渡らせると。すごいお言葉であり、決意であると思います。ぜひ一歩一歩着実な前進をよろしくお願いいたします。
 次に、介護報酬の改定についてお尋ねをさせていただきます。
 介護報酬は、ご案内のとおり診療報酬と異なり、全国一律ではなく、地域の人件費の高さが加味され、基本の介護報酬に人件費割合が上乗せされ、介護報酬の体系になっております。全国の市区町村は、上乗せ割合〇%から一八%まで七段階で区分をされております。
 都内にあっても、市区町村ごとに段階が異なるわけでありますけれども、お配りをしております資料をここでごらんいただきたいんですが、この一枚目の一番左の数字が平成二十三年度までの上乗せ割合でした。しかし、大都市の人件費、もっと大変だよということで、平成二十四年度からその上乗せ割合が、例外を除けばですけれども高くなっております。それが二つ目のカラーがついている左の数字のパーセンテージです。
 ここでごらんいただきたいんですけど、二十三区は一五%から全部一八%に上がります。多摩の市町村の中で見直しがなされて、瑞穂町を除いて、東大和市と武蔵村山市だけが、五%から三%に下げるという見直しがなされました。これはとんでもないということで、地元の市長さんたちと私ども公明党が連携して、厚生労働省にもかけ合って、暫定的に五%にしてもらったという経過があるわけでございます。
 二枚目の表をごらんいただきたいんですけれども、右側二十三区は一八%加算をしております。濃い青色のところは一五%加算、薄い青色は一二%加算、そしてちょっと茶色っぽいところが一〇%加算、グレーのところが六%加算、ピンクのところが三%で、白が〇%となっております。
 こういう状況下でしたので、それじゃ困りますよというんで、三枚目をごらんいただいて、黄色、東大和と武蔵村山は五%で暫定にしていただきました。これがまた、平成二十七年度には暫定ですのでもとに戻るという、こういう状況下にあります。ちょっと地元問題的になって大変恐縮なんですけれども、なぜか東大和市と武蔵村山市だけがなっているということで、ここでどういう問題が生じるかといいますと、この三枚目の資料のところで、黄色の二市だけが五%から三%に戻りますと、その下の立川とか小平とかというところは人件費が一二%なんです。そうすると、同じ介護施設で仕事をするんだったら、道路一本隔てた立川で仕事をしようとかとなるわけですね。なぜか福生も高かったりするんですけれども、どこがどうということではなくて、近隣との差が余りにも著しく激しいと、介護人材がとられてしまうという、こういう状況になってくるわけであります。
 そこで、ちょっと飛んでしまいましたけれども、もとに戻しまして、市区町村ごとの地域区分の上乗せ割合というのはどのようにして決められるのか、ご説明をお願いいたします。

〇川澄福祉保健局長 お話のとおり、介護報酬におきましては、地域ごとの人件費の差を調整するため、保険者である区市町村ごとに人件費分の上乗せ割合が七つの地域区分として定められております。
 その適用地域につきましては、国家公務員の地域手当の級地区分に準拠して定められておりますが、国の官公署が存在しないため級地区分の設定がない区市町村につきましては、近隣区市町村のうち低い級地とされた区市町村の区分にあわせることと定められております。

〇谷村委員 介護報酬というのは、上げれば介護保険料に影響しますので、上げた方が一律いいということでは必ずしもないわけです。知事にもお会いいただいておりますけれども、東大和市の尾崎保夫市長さん、そして武蔵村山市の藤野勝市長さんが厚生労働省に行って、老健局長以下二局長一部長に、これは余りにもひどいと、何とかしてほしいという、こういう要望書も出されておりますので、特にこの二市につきましては、何とかしなきゃいけないと思っているんですが、介護報酬の上乗せ割合の地域区分を定めるに当たっては、国において、保険者である区市町村の意見をよく聞いて、近隣と著しい差が生じないよう、実態に即した報酬改定となるよう、都としても国に強く求めていただきたいと思いますが、ご見解を伺います。

〇川澄福祉保健局長 都はこれまで、事業者や区市町村の意見も踏まえながら、介護保険制度の改正や報酬改定時に、国に対して提案要求を行ってまいりました。
 前回の平成二十四年度の制度改正時には、介護報酬改定に関する緊急提言として、大都市における人件費や物件費等を鑑みた地域区分とすること等を提言し、その結果、地域区分が五区分から七区分に見直されたところでございます。
 現在、国の社会保障審議会介護給付費分科会におきまして、次期の介護報酬改定に関する議論が行われておりますが、都といたしましては、保険者である区市町村の意見も踏まえ、介護報酬の水準が、地域区分の設定も含め大都市東京の実態に即したものとなるよう、時期を捉えて提案要求をしてまいります。

〇谷村委員 よろしくお願いいたします。大都市の実態に即して、東大和市、武蔵村山市もほっとかないで、ぜひお願いをしたいと思います。
 与党公明党といたしましても、厚生労働省に声を上げておりますので、ひょっとしたら知事が電話一本かけていただければ済む話なのかもしれませんが、老健局長あたりに、都としてもぜひよろしくお願いをいたします。
 次に、就労支援についてお伺いをいたします。
 福祉施策の推進には、福祉サービスがどんと真ん中に来て、その両翼を担うのは住宅と、そして就労、この二つを支援することであります。きょうは時間がありませんので住宅の方は置いておきますけれども、就労支援につきましては、大変大きな成果をずっと着実に前進をさせてまいりました。東京都の取り組み、大変高く評価をさせていただいております。
 知事の施政方針表明でも、東京にはすぐれた人材が集積している、こうした潜在力を最大限引き出さなければならないと述べられております。若者や女性、高齢者などの働く力を引き出して、仕事に結びつけていくことが、その知事のお言葉の具体化、具現化にもつながると思います。
 そこで、雇用、就業の推進につきまして、知事のご見解を改めてお伺いをいたします。

〇舛添知事 私は常に、恒産なければ恒心なしということを申し上げております。安定した社会をつくるためには、意欲ある人が仕事について、しっかりとした生活基盤を築くことが第一であると思います。老いも若きも女性も男性も、希望と能力に応じて働くことで、東京の潜在能力が呼び覚まされて、東京全体のさらなる活力が生まれてまいります。
 働き方にはいろいろございますけれども、できるだけ正規雇用の方向に持っていくのが本来の姿であると思っております。失業者や不本意な働き方をしている人の再チャレンジを支援していくということが必要だと思います。
 また、出産、育児等で離職した女性や豊富な経験を持つ高齢者が仕事を通じて能力を発揮することは、東京にとって非常な強みになると思います。
 都は、職業訓練や東京しごとセンター事業を推し進めるとともに、国とも力を合わせて、働く意欲のある方の就職を支援してまいります。あわせて、男女ともに、育児や介護などを抱えながらも仕事を続けられるように、ワークライフバランスに配慮した雇用環境の整備にも取り組んでまいります。

〇谷村委員 ありがとうございます。確固たる政治理念に裏づけられたご答弁をいただきました。私どもも同じ思いで取り組んでまいる所存でございます。
 そこで、東京の雇用就業施策の中心になっていますのが、申し上げるまでもなく東京しごとセンターであります。若者から女性、高齢者などの全ての都民の就労支援のため、さまざまな相談にワンストップで対応する機関として、平成十六年七月に飯田橋に開設され、それは、今度は多摩の人たちに使い勝手が悪い、遠いということで、私ども公明党、強い要請をさせていただきました。結果として、三年おくれでしたけれども、平成十九年八月にしごとセンター多摩が開設されました。
 飯田橋の東京しごとセンターができて、ことしで十年になります。そこで、この十年間の取り組みの成果についてお伺いをいたします。

〇塚田産業労働局長 東京しごとセンターは開設以来、就職を希望するあらゆる年齢層の方を対象に、ハローワークとの連携や民間事業者の活用を図りながら、カウンセリングやセミナー、職業紹介など、きめ細かなサービスを提供しております。
 この間、新卒未内定者や就職氷河期世代への特別支援、女性の再就職支援などを展開し、直面する課題にも的確に対応してまいりました。
 開設から先月末までに、利用登録者のおおむね五割に当たる約十一万人が就職し、各種サービスの利用者も延べ百四十万人を超えるなど、着実に成果を上げております。
 今後とも、雇用環境の変化を踏まえながら、しごとセンターにおける就職支援の充実を図ってまいります。

〇谷村委員 すばらしい成果を上げていただきまして、大変にありがとうございます。高く評価をさせていただいております。
 国の機関としてはハローワークがあります。新たないろんな取り組みもされております。今後、このハローワークの機能としごとセンターの取り組みを連動させていただいて、相乗効果が発揮できるように、元厚生労働大臣の元労働大臣の方ですね、こちらの方のお力もぜひ発揮していただければと要望いたしておきます。
 さて、都はこれまで、公明党の要請を受けまして、来年度、しごとセンター内に出産などで離職した女性のための専用の相談窓口の新設をすることとしております。
 公明党は、かねてより子育て中の女性の仕事探しを支援するため、しごとセンターにおける相談支援機能の充実を求め、これまで託児サービスも運営していただきました。設置をしていただきました。これは大変画期的なことでありまして、うちの公明党の三人の女性議員がずっと取り組んでこられました。
 仕事をしようという女性が赤ちゃんを連れてきて相手にされなかった、どういうつもりなんだと、子供を連れて本当に働く気があるのかとまでいわれるような時代があったわけであります。それが今や、しごとセンターには託児所を設置して、お子さんの面倒を見ていただきながら、職を探すことができる、相談することができるという、隔世の感があるわけであります。
 また、保育所と仕事再開の矛盾、仕事を始めようとするとお子さんを預けなきゃいけない、お子さんを預けるために保育園に行くと、仕事をしていないから預けられませんよと、預けられないから仕事ができないという、この負のスパイラルをずっと抜け出すために、さまざまな取り組みをしごとセンターでしていただいたわけでございます。仕事と家庭の両立に関する情報コーナーなども設置をしていただきました。
 今回の女性専用の相談窓口の新設は、これらをさらに発展させたものであり、大変評価をさせていただいております。
 そこで、再就職を望んでおられる女性には二つの制約があるといわれます。それは、育児や介護などにより、就職活動の際の行動範囲、あるいは時間帯に制約があること、そしてもう一つ、仕事を再開するのに、育児や介護の家庭事情があるので、それに見合った就労形態でなければならないという、こういう制約があるわけでございますけれども、女性の再就職相談専用窓口では、この女性の二つの制約に対してどういう対応をしていただけるのか、ご説明をお願いします。

〇塚田産業労働局長 来年度、東京しごとセンターに開設をいたします出産等で離職した女性向けの専用相談窓口におきましては、カウンセリングや職業紹介、保育に関する情報提供など、再就職を後押しするサービスをワンストップで提供してまいります。
 この中では、来所に制約がある利用者の方に対し、メールや電話を活用した相談にも対応いたします。また、カウンセリングにより把握した個々の適性や希望条件等を踏まえ、短時間勤務や自宅に近い職場など、仕事と家庭の両立が図りやすい求人を掘り起こし、就職に結びつけます。
 こうした取り組みにより、働く意欲と能力のある女性の再就職を積極的にサポートしてまいります。

〇谷村委員 そこで、しごとセンター多摩でございますが、多摩地域の都民の方というのは、地元で就職をしたい、あるいは職を探すという傾向があるようでございます。
 今後とも、多摩地域の皆様のさまざまな機関と連携をして、就業支援を実施していただきたいということと、それから、しごとセンター多摩、今、国分寺にありますけれども、立川に移転をする計画があります。
 その際には、女性の就業支援を初めとして、飯田橋にあるしごとセンターと同じ機能が発揮できるように、機能拡充を進めていただきたいと思いますが、ご見解を伺います。

〇塚田産業労働局長 しごとセンター多摩では、多摩地域での勤務を希望する利用者が多いことから、地元自治体等と連携し、地域就職面接会を実施しております。
 今年度は、より多くの地域でマッチング機会を提供するため、面接会の回数を十二回から十五回へとふやすとともに、参加企業の規模を拡充いたしました。来年度は、地元自治体等の意見なども踏まえつつ、多摩地域における就職支援を効果的に行ってまいります。
 なお、同センターについては、事業スペースが狭隘で建物も老朽化しているため、立川駅前に移転整備する計画であります。これを機に、女性の相談業務なども含めてサービスの充実強化を図ってまいります。

〇谷村委員 ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いを申し上げます。
 次に、ここからはオリンピックに関連して質問をさせていただきます。
 これまで東京都では、私ども公明党の大変強い要請を受け、スポーツを通じた被災地支援として、被災地の子供たちを東京に招待して開催する交流会、あるいはアスリート派遣事業などさまざまな事業を実施していただきました。
 中でも、昨年初めて開催をされました、未来と書いてあしたと読ませる未来(あした)への道一千キロメートル縦断リレーは、昨年七月二十五日から八月七日までのちょうど二週間をかけて、青森県八戸市から東京までの被災地をランニングと自転車で駆け抜けたという、このリレーは、東日本大震災の記憶を風化させないためにも、非常に意義のある事業だと思っております。
 そしてまた、被災地の方々からも大変に歓迎されているというふうにお伺いをいたしました。そして、昨年参加をした方々の九割は、またぜひ、次の機会があるなら参加をしたいと、このようにおっしゃっているそうであります。
 この十四日間、朝スタートして夕方まで走って、また次、翌日スタートしてという、この十四日間のスタートセレモニーがあったわけですけれども、その都度、地元にゆかりのある著名人、また宮城県や千葉県では県知事が、あるいは地元の首長さん--市長、村長、町長さんなどが集まって、全国から集まっているランナーを励ましたといわれております。
 この様子は、テレビや新聞報道など連日大きく取り上げられまして、全国に被災地の今を伝えることができたといわれております。
 このイベントなんですけれども、これが昨年の九月七日を目指して、オリンピックを招致するためのイベントだったのか、それとも大震災から復興した日本の姿を、復興した姿を世界に示したいという、根本的な東京のスタンスを示したイベントなのか、それが昨年限りで終わるのか、続くのかによって位置づけが大きく違ってくるのではないかという声を大変多く寄せていただいております。
 そこで、私どもは、この大変すばらしい一千キロメートルリレー、ぜひとも来年度も実施をしていただいて、そして舛添知事ご本人にも、何らかの形でかかわっていただければというふうに思うわけでございますが、知事のご決断をお願いいたします。

〇舛添知事 東日本大震災から三年がたちまして、震災の記憶の風化、これが懸念される中で、被災地はきょうも一生懸命、復興に向けて懸命に歩み続けていると思います。
 そういう中で、無限の可能性を秘めましたスポーツを通じて、全国と被災地とのきずなを深めて、未来に向けて被災地の方々に夢や希望を感じていただくということは大変意義があると思います。
 そこで、今おっしゃいました、関係者のご理解、ご協力をいただきながら、一千キロメートル縦断リレーは、来年度も地元自治体とともに協力して開催をいたします。
 そして、これは、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックが開催決定しましたので、その東京招致への感謝の気持ちも込めまして、何らかの形でぜひ私も参加したいと思っております。
 そして、被災地の方々と一体となりまして復興を後押しするとともに、この願いを二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックへとつないでまいりたいと思っております。

〇谷村委員 この場での開催のご決断をいただきまして、大変にありがとうございます。
 そこで、たった今、知事から開催決定の発表があったばかりでございますけれども、来年度といっても、もう半年ぐらいの期間しかないわけでございまして、具体的にどのような内容になるのか、お答えいただける範囲で結構でございますので、中嶋局長、ぜひよろしくお願いいたします。

〇中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長
千キロメートル縦断リレーにつきましては、第二回目となります来年度も、全国から多くの親子に参加してもらえるよう、七月下旬から八月上旬にかけて開催をいたします。
 青森県庁をスタートといたしまして、復興に向けた取り組み状況などをより一層発信するために、震災後に三陸復興国立公園として指定されました岩手県宮古市の浄土ヶ浜など、復興の象徴となる場所を新たにコースに加えることとしております。
 また、障害のある人にも、より多く参加していただけますよう、コースの途中に平たんな特設区間を設定するほか、地域活性化のために、新たに専用のウエブサイトを設けて特産品や観光地としての魅力などを積極的にPRしてまいります。
 開催に当たりましては、今後、被災地の自治体などと連携いたしまして、二〇二〇年に向けて一層意義のある事業としてまいります。

〇谷村委員 ありがとうございます。約二週間という長い大会運営になりますけれども、ことしも万全を尽くして開催していただけますように、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、芸術文化振興であります。
 オリンピックムーブメントを進めていく上で、当然、芸術文化の分野でも世界一の姿を指し示す必要があるのは論をまちません。
 さきの予算特別委員会の代表総括質疑で我が党の長橋政調会長の質問に答えて、知事は、東京の芸術文化の拠点は、パリなどに比べて相対的に充実していないというご趣旨のご答弁をされました。またあわせて、二十三区だけでなく、多摩地域にもすばらしい美術館があるとまでおっしゃってくださいました。
 であればこそ、東京が文化の面でも世界一の都市になるためには、二十三区だけでなく、多摩地域も含めた芸術文化の拠点をさらに充実させるとともに、その拠点づくりを今後の都市づくり、それ自体に組み込んでいくべきではないかと思いますが、改めて知事のご見解をお伺いいたします。

〇舛添知事 文化や芸術でも世界一の都市を目指したい、まず、このために全力を挙げることを申し上げたいと思います。
 その中で、東京では上野や六本木、池袋、渋谷など、国際的な文化的な拠点を目指した取り組みがございますけれども、今おっしゃいましたように、二十三区でも、神楽坂はフランス文化との関係がある、秋葉原もあります。
 ただ、多摩地域でも、吉祥寺、三鷹、それから府中、八王子など、まちづくりと連動した文化活動を行っているところがたくさんございます。この芸術文化特区ともいうべき動きをさらに加速させたいと。
 そのために、今、例えば三多摩地域で府中や八王子なんかはすばらしい美術館がありますから、この文化資源のネットワークをつくっていく、そして世界の文化先進都市にしたいというふうに思っておりますので、多摩地域を含めて東京全体、これは世界一の文化芸術都市にしたいと思って頑張りたいと思います。

〇谷村委員 ありがとうございます。昭和三十九年のオリンピックは、経済が優先をされて、文化芸術が取り残されたと指摘する識者の方もいらっしゃいます。今、知事が、世界一の文化芸術都市を目指していただくと、改めて、気迫が伝わってくるお言葉をいただきました。私どもも、文化芸術の振興に、オリンピックに向けて全力で取り組ませていただきたいと思っております。
 最後に、オリンピック・パラリンピック開催に向けて非常に重要な位置づけとなります臨海副都心について質問します。
 某政党の機関紙で先日、いまだに臨海会計が財政難、不要不急の浪費型開発などと批判記事を掲載するなど、臨海副都心のイメージダウンを図る動きがあります。この記事では、臨海地域開発事業会計が財政難に陥り、起債の返済計画が行き詰まっているとし、内部留保金の約一千八百億円では、今後の基盤整備に要する一千六百億円と起債償還額二千四百三十二億円を支払うことができず、資金不足に陥る可能性が浮上したと書いております。これは事実でしょうか。

〇多羅尾港湾局長 臨海地域開発事業会計の起債総額五千百八十五億円のうち、約五五%を償還済みであり、今後の償還額は、元金と利息を合わせて約二千四百三十二億円となります。加えて、今後の都市基盤整備費用として約千六百億円の支出を見込んでおります。これらを合わせると合計約四千三十二億円の資金が必要となります。
 この財源として、約千八百八十四億円の内部留保金と約三千億円の価値を持つ未処分地を合わせて四千九百億円相当の資産を保有しており、確実な起債償還が可能であると考えております。

〇谷村委員 明快なご答弁ありがとうございます。二千億円近くのキャッシュを含め、資産は十分に保有しているということだと思います。
 また、この記事によりますと、会計の財政難と起債返済計画の行き詰まりにより、九百七十五億円の新たな借金をすることが取材で明らかになったとしておりますけれども、これは真実でしょうか。

〇多羅尾港湾局長 起債償還と残る都市基盤整備のための支出を賄う資産は十分に確保されております。
 しかしながら、オリンピック・パラリンピックの競技会場設置など、さまざまな土地需要に対応しながら、中長期の視点を持ってまちづくりを進めていく必要があり、会計の柔軟性を維持するために、来年度の償還額千四百五十五億円のうち、九百七十五億円を借りかえる予定でございます。これは借りかえであり、起債総額五千百八十五億円に変更はなく、新たな借金との指摘は当たらないと考えております。
 今後とも、社会経済状況の変化に柔軟に対応できるよう、必要な手持ち現金を確保し、財政基盤の強化を図り、適切な会計運営を行ってまいります。

〇谷村委員 財政難に陥って起債を返済できず、新たな借金をしたということは真っ赤なうそだということですね。そういうご答弁でございました。
 四半世紀にわたり臨海副都心開発を批判してきた政党の、何とか失敗してほしいという願いというか、ねたみというか、呪いが込められたような記事だと思います。借りかえを新たな借金といいかえ、さらなる借金地獄に追い込まれるとまでいうのは、何をかいわんやであります。
 さらに、借りかえを行う理由の一つとして、企業誘致の不振を挙げていますが、近年の臨海副都心の土地処分状況や企業の集積状況についてお伺いをいたします。

〇多羅尾港湾局長 有償処分面積百六十三ヘクタールのうち、既に約七割に当たる百十五ヘクタールを売却や貸し付けなどで処分済みでございます。
 近年の企業誘致については、平成二十四年四月に、新たな商業施設であるダイバーシティ東京の開業や、武蔵野大学有明キャンパスの開校が相次ぐとともに、平成二十五年十一月には、有明南K区画について、ホテルと商業施設の進出事業者が決定いたしました。
 現在もさまざまな事業者から土地購入に関する引き合いをいただいております。
 臨海副都心における進出事業者は、平成二十四年末現在で、テナント入居を含め約千五百社が集積している状況でございます。

〇谷村委員 次の質問者が共産党ということで、議員の方、多くいらっしゃいますので、よく聞いていただければと思います。
 ただいまのご答弁で、着実に開発が進んでおり、企業誘致が不振ではないということは明らかであります。都市づくりというのは、土地がいかに早く売れたのかを競うのではなく、都民の皆様の生活が充実し、東京や日本全体の経済を牽引できるような中身の濃い開発内容になっているのか、いないのかが問われるべきであります。
 さて、現在、臨海副都心の青海地区北側を中心として、アジアの諸都市が成長分野として力を入れておりますMICE、国際観光機能を強化する取り組みを進めておられます。改めて局長の決意をお伺いいたします。

〇多羅尾港湾局長 シンガポールやソウルなどのアジア諸都市では、国際会議場などのMICE施設の整備とあわせて、ホテルや商業施設、また、劇場等のエンターテインメント施設などの観光資源を相次いで開発し、世界中から人、物、情報、技術を集め、大きな経済効果を得ております。
 東京が厳しい都市間競争を勝ち抜くためには、オリンピック・パラリンピックを成功に導き、あわせて臨海副都心を、日本のすぐれた技術や文化を生かした、世界に類のない東京ならではのMICE、国際観光拠点へと早期に成長させることが必要でございます。
 こうした取り組みにより、東京のみならず、日本全体の経済成長に貢献してまいります。

〇谷村委員 大変にありがとうございます。
 臨海副都心の開発もいよいよ最終段階を迎えます。オリンピック・パラリンピックの成功と、そしてMICE、国際観光拠点化の推進など、重層的な政策を実行するために、大局的な視点で会計運営に取り組み、盤石な財政基盤を構築して、効果的な臨海副都心開発を引き続き進めていただくことを強くご期待申し上げまして、私の質問を終わります。
 大変にありがとうございました。(拍手)